日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『こいいじ』
『こいいじ』第3巻
志村貴子 講談社 ¥429+税
(2016年1月13日発売)
甘くて苦くてくせになる、そんな作品群で人気を集める志村貴子の最新作。
今度こそ、幼なじみの聡ちゃんへの片想いにケリをつけようと心機一転、ひとり暮らしをはじめた主人公、まめ。
不動産屋の河田さんと少しずつ距離を縮めていくが、聡ちゃんと姉・ゆめの過去を知り、つい心をかき乱されて……。
あきらめの悪すぎるまめも、とうとう片想い卒業!?
と思いきや、20年ぶんの想いは、やはり簡単には忘れられないようで。
いい加減、幸せになれよーと河田さんとの恋を応援しつつ、読み手としてはつい、もう少しだけ、この「片想い」というぬるま湯につかっていたい……と願わずにいられない!(河田さん、ごめん)
半径1キロ範囲の町内の人々の複雑に入りくんだ人間模様も、波乱の予感をはらみつつ、やっぱりファンタジーのように心地よく、甘やかで。
もし、恋愛のために彼らが決裂するような未来があるのなら、別にみんな永遠に片想いのままでいいじゃん! とすら思ってしまう。
とにかくも、まだまだ当分こんな感じでマッタリ続いてゆきそうで、地味にハマります。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69