日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ダーリンは70歳』
『ダーリンは70歳』
西原理恵子 小学館 ¥1,000+税
(2016年1月20日発売)
ご存じ、サイバラ先生と美容整形界の第一人者である高須クリニック院長、2人あわせて120歳のバカップルの日々を描いた本作。
といっても、この2人だけに、とにかくすべてが未知の世界&ムチャクチャすぎる!
なんせ、ダライ・ラマに会いにチベットに行ったり、フリーメイソンの試験がてら京都に行ったり、睡眠薬で熟睡する彼のホテルまで仕事あがりに駆けつけ、いっしょに眠るのが「デート」なのだから、スケールが違うというか。
イチャイチャもケンカもぶっ飛びすぎてて、底抜けにバカバカしくって、おもしろくって、それでいて、不意にしんみりセンチメンタルなツボをついてくるあたり、さすがサイバラさん。ズルイ!&うますぎる!
故・鴨ちゃん以上にブッとんでて、じつはヤッカイそうなカッちゃんをアメとムチで手なづけるサイバラさんもすごいが、「その全部があって今のあなたがここにいるからね ヴィンテージカーだよ キズはそれが値打ち」とサイバラさんの人生丸ごとを受けとめてみせる、カッちゃんの器もすごい。
すべてにおいて規格外、ながら、圧倒的な下世話さと愛と生命力に満ちた人間賛歌だ。
<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69