『サイバラ茸』第7巻
西原理恵子 講談社 \1,800+税
2月12日は、小説家・司馬遼太郎の命日“菜の花忌”。
これは1996年に満72歳で亡くなった氏が、菜の花やタンポポなど、野に咲く黄色い花が好きだったことにちなんだもの。
そしてもうひとつ、江戸時代の廻船商人・高田屋嘉兵衛の物語『菜の花の沖』という代表作にも由来している。
嘉兵衛は実在の人物で、箱館(現在の函館)の発展にも貢献した人物。
その嘉兵衛の子孫で、司馬遼太郎とも縁があった漫画家がいるのをご存じだろうか?
その漫画家とは、西原理恵子。
母親の実家が直系本家だという話が、朝日新聞社を通じて司馬のもとにも伝わって、「今度ゼヒ話をしてみたいですね」とつながりができた両者。また小学館では、西原理恵子のルーツをたどる企画が動きだして、地元・高知へ取材に向かうことにもなる。
しかしそこで一同が目にしたのは、“高田屋”ではなく“高田谷”の表札。さらに、西原が一族の前で先祖をマンガにすることを意気揚々と宣言すると……!?
こちらはまだ司馬が亡くなる前の話で、「そのうち司馬先生はお体を悪くされてしまい── 奥さまと編集長を通じてお酒をいただき──」となるが、現在、「今だ この日本酒を正視できないわたくし」。それというのも……。
このエピソードの顛末については、『たぬきランド』第3巻の“まえがき”として描かれたエッセイマンガでぜひご確認を(現在は『サイバラ茸』第7巻収録)。
菜の花忌にマンガで偉人を忍びつつ、また西原の騒動に笑ってもみては?
<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。