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『シェアバディ』第1巻 吉田貴司(作) 高良百(画) 【日刊マンガガイド】

2016/02/25


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『シェアバディ』


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『シェアバディ』第1巻
吉田貴司(作) 高良百(画) 小学館 ¥552+税
(2016年1月29日発売)


38年間の長すぎる非モテ人生を歩んできた木田敏郎。そんな彼がある朝目覚めると、隣の部屋に住むイケメン大学生・松岡の身体に入り込んでいた……!?  『フィンランド・サガ(性)』の吉田貴司が原作を手がけ、新人・高良百の作画で贈る2in1(ツー・イン・ワン)コメディ。

男女の入れかえモノはマンガや映画のみならず、AVでもイチジャンルを形成しているが、本作は男同士。
オッサンが若いイケメンの身体を乗っとって、しかもイケメンの意識もそのまま残っているという設定は新味だ。

2人はタイトルどおり“ボディシェアのバディ”となるのだが、乗っとられた松岡のほうは自分の身体を操ることができない点がキモとなる。
松岡は女性に対して免疫がない木田の暴走を脳内でなだめすかしながら、どうにか普通の大学生としての日常を送るように指示。木田はこれまで縁のなかったリア充な青春を満喫し始める。

そもそも2人がボディシェア状態に陥ってしまったのは、木田の「セックスがしたい!」という念が強すぎたがゆえ。
だからして「セックスさえすればもとに戻るはず」と木田は考える。まったく確証のない適当な考えに最初はあきれていた松岡も、やがてその仮定を受けいれ、「もともと交友関係にある女の子はNG。完全に新規なら自分の身体を使ってセックスしてもOK」という条件を出す。
はたして木田はセックスをすることができるのか――。

 

このように木田が(初?)セックスへ向けてドタバタすることが物語の縦軸ではあるが、じつは横軸のミステリも存在する。
それは「木田のボディはどうなったのか?」ということ。魂が抜けたはずの木田のボディは、土地勘のない茨城県に引っ越していた。
カギを握るのは、木田が松岡の身体に入り込む前夜に訪れた「GOKURAKU不動産」。翌日には消えてしまったこの不動産屋の正体とは?

様々なタイプの女の子とイケメンの皮をかぶったオッサンのいちゃいちゃを楽しみつつ、“少し不思議”な展開にも注目だ。



<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)

単行本情報

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