『そこにいたの西山さん』第2巻
U‐temo KADOKAWA/メディアファクトリー \576
(2014年6月27日発売)
同じクラスの結城さんが好きな、百合ケ丘くんと西山さんの2人。
ところが、存在感の薄い西山さんは「人に気づかれない」という「ステルス力」が強すぎて、百合ケ丘くん以外の人間にまったく気づかれず、友達がひとりもいない。憧れの結城さんと仲良くなろうと、力を合わせて2人で行動することとなった百合ケ丘くんと西山さんは……。
西山さんを見つけることができるのは自分だけだと思っていた百合ケ丘くん。
ところが、次第に西山さんはクラスメイトたちから認知されるようになり、少しずつ友達も増えていく。ああ、俺じゃなくてもよかったんだ……と、百合ケ丘くんは苦しむことになる。
男女問わず、親しくなった相手の世界が広がると、自身との間に距離が生まれてしまうのではないかと、不安や嫉妬を感じるもの。
お互い初めての経験でヘタレてしまい、うまくコミュニケートできず、どう接すればいいのか距離間がわからなくなってしまうもどかしさ。思春期の「相手への意識・認識」を、「ステルス少女」という特異なキャラクター性に置き換えて描いている。
2巻という短い巻数で、心の上下幅をきれいにまとめて描き切っている。 ぜひ読んでほしい青春物語の良作。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」