日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ディノ・サピエンス』
『ディノ・サピエンス』第1巻
安井ミイト(作) 森よし(画) 講談社 ¥602+税
(2016年2月5日発売)
恐竜が襲ってくる恐怖は、『ジュラシックパーク』などを見るとわかるだろう。
逃げていくのは幼い少年少女たち。さながら『グーニーズ』のように、策を練り、個性を活かしてサバイバルする。
恐竜相手には人間は歯がたたない。彼らを駆逐するには『パシフィック・リム』のような作戦が必要だ。
ハリウッド映画のおいしいところ総取りのような、アクションマンガ。
人間を無差別に襲う恐竜のパニック作品……だが、敵は恐竜というよりも、怪獣やエイリアンに近い。
なんせ爪ひとつでリニアモーターカーを真っぷたつに分断したり、自衛隊の最新戦車をあっさり壊滅させるようなのがゴロゴロ出てくる。
ブラキオサウルスらしき恐竜は、ひと口で列車を食い尽くす。でかい! そんな恐竜はいなかったぞ!
メインのキャラは4人。
元気あふれる熱血漢のわんぱく少年、フィッシャー。
冷静沈着にして文武万能な理系少年、ガタカ。
無口で気が弱くゴス服に身を包んだ少女、アリス。
明るく優しいムードメーカーな少女、エミリー。
児童文学に出てきそうなデコボコな面々は、日常風景を見ているだけで楽しい。4人は、想定の範囲をはるかに超えた恐竜たちから逃げるため、力をあわせていく。
純粋暴走少年フィッシャーと、頭脳派で理詰めのガタカのコンビは、とても魅力的。
性格が真逆で、1ミリたりともあわない2人。ところがお互いをリスペクトしており、信頼しあって行動している。
背中を預けたコンビネーションは、見ていてとても気持ちいい。
ページをめくるごとに、ありえない展開が続く。ハラハラというより「なんだってー!?」に近い。
描かれるビジュアル一つひとつひとつが鮮烈。ぜひ実写で見てみたいところ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」