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『天神-TENJIN-』第2巻 小森陽一(作) 田岡宗晃(構成) 杉江翼(画) 【日刊マンガガイド】

2016/03/10


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『天神-TENJIN-』


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『天神-TENJIN-』第2巻
小森陽一(作) 田岡宗晃(構成) 杉江翼(画) 集英社 ¥420+税
(2016年2月4日発売)


マンガ『海猿』の原案、『S -最後の警官-』の原作などで知られる小森陽一が航空自衛隊で戦闘機パイロットを目指す少年を描いた小説『天神』
そのマンガ版が本作だ。

空の守り神・天神に会いたいと願って、空を目指す主人公・坂上陸。
日本の空を守る戦闘機パイロットはどんなふうに養成されるのか。その訓練過程を丹念に描くという点では航空自衛隊版の『ライジングサン』(藤原さとし)とも言えそうな本作。
訓練生である主人公たちは、カッコイイ戦闘機になんてまだ乗れないし、派手な空中戦なんてもちろんない。

教官の後ろに乗っているだけだった若者たちが、初めてプロペラ飛行機を自分の手で飛ばし、初めてジェット機に乗り……と少しずつ少しずつ「初めての空」を積み重ねていく。
あるいは……ある者は適正なしとの無情な判定を受けて、空を去ることを余儀なくされる。

けれども、そうした過程を一歩一歩踏むからこそ、空を飛ぶことがいかに難しく、恐ろしく、そしてすばらしいことかがページから伝わってくる。

どだい、猿から進化した人間は空など飛べるようにはできていない。
飛行機……とりわけ戦闘機のパイロットになれるのは、そんな不可能を可能にするような、本当に希有な才能を持って生まれた者だけ……たとえば主人公のような。

天の神に愛され、空でその才能を開花させていく主人公は、はたしてどこまで飛んでいくのか。
T-4練習機による訓練はこの2巻で終わり、次巻からはいよいよ自衛隊の主力戦闘機F-15が登場する。

パイロットに一度でもあこがれたことがあれば、ぜひ読んでほしいマンガだ。



<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas

単行本情報

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