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4月3日は日本橋開通記念日 『北斎漫画』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/04/03


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

4月3日は日本橋開通記念日。本日読むべきマンガは……。


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『北斎漫画 I 江戸百態』
葛飾北斎 青幻舎 ¥1,500+税


4月3日は、東京都中央区にある日本橋の開通記念日。

日本橋は江戸時代より都市の中心地としてにぎわいを見せ、また全国につらなる街道の起点でもあったランドマークだ。
木造であった橋が、以前の3倍近くの幅約27メートルもある石の橋として生まれ変わったのが1911(明治44)年の4月3日である。
以後、関東大震災や東京大空襲でも難を逃れ、1999(平成11)年には国の重要文化財に指定されている。

花のお江戸の栄華のシンボルである日本橋は、江戸時代に多くの浮世絵師に描かれ、「名所絵」として人気を博した。
その代表的な作品が、葛飾北斎の作品。
様々な地から臨む富士を描いた「富嶽三十六景」は、「江戸日本橋」から始まるシリーズ作品である。

ここで紹介する『北斎漫画』は、今の観点でいえば正確にはマンガではない。
しかし、確実に現代マンガの原点といえるものだ。
現代風にいえば、本作は“マンガの描き方・初級編。すでに日本を代表する画家であった北斎が後進のためのお手本として発表したのだが、フタを開けてみれば一般人にも広く求められたという。

本作は全15巻、約4000点に及ぶカットを3冊に再構成したものの第1巻。
『江戸百態』と題し、市井の人々の日常の姿、風俗や労働、建物や生活用具などを描いた図版を収めている。

だが、これは単なるカット集ではない。たとえば寝転がって書を読む太った女、将棋に興じるやせぎすの男たちにしてもじつに表情豊か……つまりは“人間味あふれるキャラクター”として描かれているのだ。
キセルで一服、煙を吹き出す動作はコミカルに“デフォルメ”されている。そして、相撲の一連の動きをとらえたページに並ぶカットはしっかり “展開するドラマ”を見せてくれる。

江戸時代における「漫画」の意味は“筆のおもむくまま、漫然と描く”こと。今のマンガとイコールではないにしろ、『北斎漫画』がマンガの祖であることは間違いない。
北斎は、ゴッホをはじめ海外の芸術家にも影響を与え、今も世界中で高く評価されている。

日本人として、ぜひ触れておくべし!



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ブログ「ド少女文庫」

単行本情報

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