『オケラのつばさ』第1巻
のりつけ雅春 小学館 \596
(2014年6月30日発売)
ボンクラヤングのバイブル『アフロ田中』シリーズが11年強の歴史に幕を閉じ(リターンもありそうだけど)、次なる一手がどうくるかと注目を集めていた、のりつけ雅春の最新作は、資本主義社会にモノ申す問題作だった!?
主人公の桶川翼は、親が遺してくれた高級マンションの家賃収入でキャバクラ三昧、デリヘル呼び放題という色欲にまみれたイケメン。そんな翼がある日バイク事故を起こして死線を彷徨うハメに。
しかし偶然居合わせた貧乏神との取引で、命が助かるかわりに1円たりともお金が使えなくなってしまう。金満青年の運命やいかに――。
金が使えなくても自分に惚れているチョイブスなキャバ嬢に貢がせたりしつつ、これまでどおりの下衆な日常を送り始める翼が、とにかく小憎らしくて早く不幸になってほしいのだが、意外なタフさを見せている。
邪念と煩悩をこじらせまくり、簡単に改心するようなタマではないだけに、現在やや劣勢の貧乏神の奮闘に期待したい。
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。
個人サイト ドキュメント毎日くん