日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『メイドインアビス』
『メイドインアビス』第4巻
つくしあきひと 竹書房 ¥820+税
(2016年4月30日発売)
人類最後の秘境、底知れぬ巨大な縦穴「アビス」……この未踏のダンジョンの底を目指し、ひとりの幼い少女がロボットの少年を仲間にし、旅に出る……。
「ここではないどこかに行きたい」
「だれも見たことのない光景が見たい」
そんなファンタジーの根源的な魅力を思うぞんぶん味わえるのが本作『メイドインアビス』だ。
あまりに巨大なダンジョンは、それ自体がもうひとつの世界である。
そこには森があり、海があり、そして多様な生物たちの生態系がある。
奥へ奥へと進む2人の前に広がる秘境の絶景に、思わずページをめくる手を止めて、魅せられてしまう。
けれども、もちろんアビスはのんびり観光なんかしていられるような場所ではない。
かわいいキャラクターとハードすぎる世界観のギャップもまた本作の魅力。
迷宮に潜む異形の怪物たち、そして迷宮に暮らすうちにみずからも異形となった人間たちが、容赦なく2人に襲いかかる。
危険に満ちた、けれどそれゆえに魅力的な世界。
「冒険」のロマンが超高密度でつまった作品だ。
<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas