日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ライフル・イズ・ビューティフル』
『ライフル・イズ・ビューティフル』第1巻
サルミアッキ 集英社 ¥600+税
(2016年5月19日発売)
表紙を見て、「?」と首をかしげた。
ライフルっていっても、ぼくの知っているスナイパーライフルと全然違うぞ?
この服装、戦いに行くには変じゃね? クレー射撃とも違うよね?
これは、日本では競技人口が少ない、ビームライフル射撃マンガだ。
着ているのはライフルジャケット。身体のブレを抑えて照準を安定させる硬い生地の服。
着るのもたいへん、歩けないくらいらしい。
持っているのは「ビームライフル」。ガンダムのではない。
火薬式ライフルやエアライフルと違って、所持資格がないため、中学・高校生でも気軽にできる。
当てるのは専用の機械。ミリ単位の精度を競う。
天然少女ひかり、おっとりした泉水、気の強いエリート・エリカ、クールな天才・雪緒。
4人が高校生らしくワイワイと部活で青春している様子は、とてもほほえましい。かわいい。
ところがいざ競技となると、作中でもネタにされているように、絵的にはとてつもなく地味だ。
見えるのは、機械が叩き出す数字(最高で10.9)だけ。すごさはそこでしかわからない。
射撃中、極限まで精神を研ぎ澄ます様子を描いている。
第1巻のラストの大会のシーン。パッと見、試合自体はだれがどうすごいのかわかりづらい。
参加者の生徒たちもそれは同様。疲労、弱気、緊張。自分自身とのストイックな戦いだ。
競技の仕組みを知らない人なら、少女たちが挑むライフル射撃の内容だけじゅうぶんおもしろい。
そして知っている人なら、繊細すぎる競技の、張りつめた空気を楽しめるはずだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」