日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『僕のヒーローアカデミア』
『僕のヒーローアカデミア』 第9巻
堀越耕平 集英社 ¥400+税
(2016年6月3日発売)
アニメも好評だった『ヒロアカ』。
9巻目はヒーローの卵たちが、自分たちの個性の限界突破を目指す巻だ。
地獄のような「できないことをやる」特訓の繰りかえし。さすがに生徒たちもきつい。
そんな最中、敵連合(ヴィランれんごう)が合宿所に出現。
プロヒーローも苦戦する、トップクラスの強敵たちと戦わねばいけなくなってしまう。
今までの巻で主人公の緑谷出久は、力の調整を実戦のなかから学んできた。
一方この巻では、「どこまで無理やり出しきることができるか」を描いている。
出久の受け継いだ力「ワン・フォー・オール」は、代々受け継いできた力の蓄積。
器である人間が受け止めきれなければ、身体がぶっ壊れてしまう強すぎる力だ。
彼は全力で殴るたびに、腕が使い物にならなくなっていた。
これでは戦いにならない、と全身の出力5%で戦う術を習得する。
だが本当に叶わないような敵が出た時、5%なんて言っていられない。
彼が立ち向かったのは、筋力増強型のヴィラン。
真っ向から殴りあっても、100%の力で腕をぐしゃぐしゃにして殴っても、勝てない。
もう絶対に叶わない、という状況でも彼は、小細工無しで真っ向から殴りあった。
完全に意思だけの力、火事場の馬鹿力もいいところ。
そういうの……嫌いじゃないよ!!?
「ヒーローとは常にピンチをぶち壊していくもの!!」
少年マンガの真髄を、技術も何もない、大振りなパンチで出久はぶちぬいた。
この巻の「SMASH(出久が殴る時の擬音)」は、今までのなかでも最高の「SMASH」だ。
だからこそ次に撃つのは、もっと最高の「SMASH」になるはずだ。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」