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『西荻窪ランスルー』 第1巻 ゆき林檎 【日刊マンガガイド】

2016/07/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『西荻窪ランスルー』


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『西荻窪ランスルー』 第1巻
ゆき林檎 集英社 ¥580+税
(2016年6月20日発売)


名作BLの呼び声高い『玉響』で知られる、ゆき林檎の青年誌デビュー作は(「月刊コミックゼノン」連載中)、アニメーターを目指して突き進む高卒女子の物語。
未成年の社会人が戸惑いながらも仕事の厳しさと楽しさを知り、少しずつ成長していく様が描かれる。

合格した大学を蹴ってまで、西荻窪のアニメ会社に就職した江田島咲(えだじま・さき)。
“やりたいことをやるのに、遠まわり(大学4年間)する必要なんてない!”と意気込みながら群馬から上京したものの、見たことのないタイプの大人が巣食うアニメ業界に面食らう日々だ。

薄給&激務のわりに人気の高いアニメ業界。
進学校出身とはいえ、専門知識を持たない18歳の少女が高い倍率をクリアして内定を勝ち取った裏には、もうひとりの主人公ともいえる日向野修一(ひがの・しゅういち)の思惑があった。
日向野は業界歴10年の作画監督。長く業界にいるがゆえに、抱えてしまう荷物も多い。
そんな彼にとって、まだ色のついていない咲の存在がカンフル剤となっていく。

まだまだ主要キャラが出そろわず、読者も咲と一緒にアニメ業界の構造やしきたり、細かな仕事の手順を追っている段階。キャッチには「仕事も恋もひたむきにがんばる/がむしゃら女子の全力疾走物語!」とあるが、今のところ、咲が恋をしている様子はない(というか、そもそも忙しすぎて、そんな余裕もなさそう)。

なんとなく日向野のことが気になっているようだが、まだまだ先輩としてのリスペクトが勝っているようだ。巻が進むにつれ、年の差13歳の恋模様が展開されるのだろうか?
そちらのほうも楽しみにしながら、咲の奮闘を見守る所存だ。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。今秋公開予定の内村光良監督『金メダル男』の劇場用プログラムに参加しております。

単行本情報

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