日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『彼女はろくろ首』
『彼女はろくろ首』 第1巻
二駅ずい 講談社 ¥429+税
(2016年7月8日発売)
ろくろ首ヒロイン・鹿井なつきの不思議なかわいさが注目の的!
学校だろうが街なかだろうが、わりと無頓着に首をにゅ〜っと伸ばしてしまうなつきちゃん。
特異な体質を隠そうとはせず、みずからギャグのネタになったり、その機能(?)を便利に使ったりすることも。人前では首を伸ばした姿を見せたくない弟のマコトとは対照的だ。
その年頃にしてはだいぶ女子っぽさに欠けるなつきだが、最近幼なじみの一樹を意識してしまってしょうがない。ずっと一番の“仲よし”である関係はそのままに……。
しかし、一樹の優しさがそれ以上のものであることに、さすがのなつきも気づきはじめる。
本巻では“これってデート?”なお出かけに加え、“ろくろ首”の核心に迫るエピソードが提示されているのが見どころだ。不器用な恋模様にときめき、とまどうなつきのリアクションに目を細め――そのなかで頻繁に現れる「彼女はろくろ首」というモノローグが効いている。
独特なリズム感を作るとともに、実際はなつきにとってもそれが“重い現実”であることを示しているようで……このタイトルはユーモラスな響きを持ちつつも、時おりグサリと胸に刺さるのだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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