日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『吸血鬼すぐ死ぬ』
『吸血鬼すぐ死ぬ』 第3巻
盆ノ木 至 秋田書店 ¥429+税
(2016年7月8日発売)
箸が転げても死ぬザコ吸血鬼ドラルクと、苦労人気質の吸血鬼ハンター・ロナルドの爆笑同居ギャグ『吸血鬼すぐ死ぬ』の3巻。
あいかわらず快調に下ネタも飛ばしているのだが、この作品の場合少々品がないギャグも持ち前の絵柄の清潔感のおかげで変ないやらしさを感じさせないのが強みになっていると思う。
で、第3巻は快調にみんなの性癖が次々と明らかになっていく巻。
どんなだー。
突如現れた吸血鬼Y談おじさん。子どもをかばったロナルドは、Y談おじさんの催眠術を浴びてしまう。Y談おじさんの催眠術にかかると、Y談しか話せなくなってしまうのだ!
その魂の吐露によれば、ロナルドはとにかく巨乳好き。それも自分から揉みにいくのではなく、お姉さんから「揉む?」とおっぱいを手のひらに押しつけられたい甘えん坊。とにかく「巨乳のお姉さんに甘やかされてぇんだよ!」ということらしい。混じりっ気なしの主張が気持ちいいぐらいだ。
そして、吸血鬼対策課の若きエース・ヒナイチまでもがY談おじさんの卑劣な罠にかかってしまう!
エリートコースをひた走る、委員長タイプの彼女が口走ったこととは!?
そして第3巻の大きなトピックといえば、オータム書店の新人編集・サンズの初登場!
ロナルドの自伝「ロナルド戦記」の担当、オータム書店フクマさんの後輩編集・サンズ。
じつはサンズはロナルドの大ファンで、フクマさんからロナルドの担当の座を奪おうと画策しているのだ。
ロナルドにいちずなあまり、ゲスな手口に手を染めることにも躊躇しない女。その前向きな性格が災いして、自ら墓穴にまい進していくのがサンズだといえる。
やたら上から目線で大口を叩いたり、先に勝利宣言をしたりと、サンズはやられキャラのテンプレみたいでザコい。
やり口は汚いが心は純情なサンズが、ドラルクの助けを借りながらロナルドに急接近!? な展開が楽しめる。
あと、この巻は巻末に「週チャン」のもうひとつの吸血鬼マンガ『実は私は』とのコラボマンガも収録されているので、こちらも要チェックだ!
<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』、『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。