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『第七女子会彷徨』 第10巻 つばな 【日刊マンガガイド】

2016/08/05


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『第七女子会彷徨』


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『第七女子会彷徨』 第10巻
つばな 徳間書店 ¥620+税
(2016年7月13日発売)


第1巻の設定には、本当にインパクトがあった。
“友達選定システム”。
高校では、もっとも適切だとコンピュータが判断した相手と、“友達”であることを指示される。
基本2人一組。授業では科目で「友達」まである。

このマンガはトンチキなSF的アイテムがじゃんじゃか出てくるため、友達選定システム自体はそこまで目立つものではない。死んだ人間をデータベース化しコンピュータ世界で生かし続けるとか、未来からやってきた少女ロボットと核シェルターに住んでいる、なんて話のほうがよっぽど派手だ。
しかし読み進むにつれ、友達選定システムがことあるごとに、この世界の人々の価値観に作用して、いびつな世界観になっているのが見えてくる。

好奇心旺盛でよけいなことばかりして、ドジなトラブルメーカーの高木さん。
まじめで一生懸命、勉強もしっかりこなす金やん。
どう見てもちぐはぐな組みあわせだった。けれどこれがベストな友達らしい。
最初はどうしてもうまくいかないことが多かった。けれど巻を追うごとに、2人の関係は密なものになっていく。お互いに、システム関係なしに「友達でい続けたい」と強く願った。

第10巻では、2人の仲は致命的なほど決裂してしまう。
きっかけは些細なこと。でも一度崩れるとなかなかもとに戻すことはできない。
やはりただのシステム上の組みあわせだったのか。それとも自分が相手と親しくなりたいと選択しているんだろうか。

仮想授業プログラムマシンなど、今までどおり特殊なギミックを通じて、2人は自分の本当の思いを洗い出していく。自我と向きあう作業はとても痛くて苦しい。

たった2人の、第七女子会の彷徨(あてもなくさまようこと)は、ここまで。
……ってわけはないですね。自分の気持ちを探る彷徨は一生続くもんだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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