365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月3日は司法書士の日。本日読むべきマンガは……。
『奮闘(きばれ)!びったれ』第1巻
田島隆(作) 高橋昌大(画) 秋田書店 ¥562+税
1872(明治5)年の8月3日、太政官無号達「司法職務定制」が布告され、司法書士の前身である「代書人」の制度が定められた。これを記念して日本司法書士会連合会は、2010年よりこの日を「司法書士の日」に制定した。
司法書士は、法律知識をもって個人、法人、動産、不動産など様々な対象の重要な権利を保護する専門職である。その専門性の高さゆえ、この職能がマンガの主人公に備わっているケースは少ない。 しかしながら、かのベストセラーマンガ『ナニワ金融道』のヒット以来、法律の専門家を主人公にすえたマンガは数多く登場している。
『ナニワ金融道』海事代理士編にブレーンとして参加したことがきっかけで、マンガ原作者となった海事代理士にして行政書士の田島隆が手がける『奮闘(きばれ)!びったれ』も、そのひとつだ。
伊武努(いぶ・つとむ)は「もみじ司法合同事務所」に所属する司法書士。ちょっと気弱でドジな伊武は、同僚の杉山栄子や一緒に暮らす姉の遺児・かりんにも叱咤されるびったれ(=小心者)だ。
そんな伊武は、法律の穴や法律そのものをタテにした理不尽を目にすると、メガネを外して気合いを入れ、弱者のために辣腕をふるう敏腕司法書士に“変身”する。
しかし、法律で相手を打ち負かしても、より非合法で暴力的な手段に訴えかける輩もいる。
そんなとき伊武は、髪をオールバックになでつけて凶相をあらわにする。
……そう、司法書士・伊武努は元極道だったのだ。
ゴリゴリの極道だった伊武が、姉の死とかりんをのこされたことで一念発起してカタギの司法書士になり、法律だけでやりこめられない相手には水戸黄門の印籠よろしく昔の顔を見せてギャフンといわせる痛快なリーガルドラマ。
法律だけでなく、娘のかりんとの心のやりとりも描くファミリードラマの側面もあって、読者を飽きさせないところも好感が持てる作品だ。
2015年には田中圭主演でドラマ化、映画化もされており、こちらもまた隠れた名作として名高い。
この機会にどちらもチェックしてみてはいかがだろうか。
<文・富士見大>
編集・ライター。法学部出身ですが今や法律とは全く無縁の生活を送っとります。『別冊宝島 「仮面ライダー」伝説の10人ライダー総特集』や、ただいま絶賛発売中の『手裏剣戦隊ニンニンジャー公式完全読本 天下無敵』にも参加。8月7日(日)より天王洲銀河劇場で上演の舞台『若様組まいる』のパンフレットもやってます。