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8月6日は広島に原子爆弾が投下された日 『この世界の片隅に』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/08/06


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

8月6日は広島に原子爆弾が投下された日。本日読むべきマンガは……。


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『この世界の片隅に』 上巻
こうの史代 双葉社 ¥648+税


きょう8月6日は広島に原子爆弾が投下された日である。
マリアナ諸島テニアン島(サイパンの南西)北飛行場から飛びたった米軍機B-29「エノラ・ゲイ」は、昭和20年8月6日午前8時15分、広島にMk-1核爆弾「リトルボーイ」を投下した。この原子爆弾により、およそ15万人が被ばくから4カ月以内に亡くなったという。
現在、8月6日は、「人類史上初めて核兵器が実戦で使われた日」として記憶されている。

広島原爆を題材にしたマンガ作品は数多いが、爆心地・広島ではなく、隣接する呉市から描いたものとして『この世界の片隅に』(こうの史代)がある。
主人公・すずは、昭和18年に広島市江波から呉市へと嫁ぐ。雑誌掲載時には、掲載誌「漫画アクション」(双葉社)の月2回という刊行ペースにあわせて作中時間が経過し、戦時下での日々の暮らしが丁寧に描かれていった。
平成18年12月に「第1回 昭和18年12月」が開始され、元号以外の年月はリアルタイム感覚のまま、読者は「20年8月」を迎えたのである。

俗に原爆のことを「ピカドン」と称したのは、「ピカッ」と閃光が走ってから、「ドン」と衝撃音が鳴るまでタイムラグがあったからとされる。
広島市から呉市はおよそ20キロ離れており、閃光から衝撃音までは50~60秒の時間差があった。その時間差のうちに、すずは“ある決断”をすることになるところは、本作のハイライトである。

また、呉市から見上げる「キノコ雲」は、仰角40度であったというから、かなり見上げるような構図となる。作中での「キノコ雲」の描かれ方にも注目してほしい。広島原爆が、周辺地域ではどのように受け止められたか、あるいは周辺地域への影響も見てとれるだろう。
本作はかなり厳密に時代考証が行われており、歴史的・民俗的な資料価値も高いので、広島原爆そのものを扱ってはいないものの、8月6日に読むには最適の作品といえる。

なお、本作は今秋に劇場アニメの公開が予定されている。
呉市立美術館では、アニメ上映に先駆けて、「マンガとアニメで見るこうの史代『この世界の片隅に』展」を開催(2016年7月23日~11月3日)。なんと本作の全ページの原画を展示中だ。
また、9月には宝島社から『「この世界の片隅に」公式アートブック』のリリースが予定されている。
劇場公開とアートブックに備えて、今から原作マンガを精読しておくことをオススメする。



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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