日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ワカコ酒』
『ワカコ酒』 第7巻
新久千映 徳間書店 ¥562+税
(2016年7月20日発売)
仕事終わり、ふらっと立ち寄る居酒屋でのほんのひと時……おそらく会社勤めの人が一番心安らかなひと時だろう。
村崎ワカコもそんなひとり。
彼女の安らぎ、その一瞬を切り取り続ける『ワカコ酒』に第7巻が登場。
ほぼ毎日晩酌しているのか!? と、思ってしまうほど、仕事帰りに彼女が立ち寄るお店は多彩だ。
まったく何事もなく過ぎた一日や、ちょっとしたトラブルで終日ブルーな日。向かう先はいつものお店だったり、気になっていたけど入ったことはないお店だったり。
それは、ちょっとしたアドベンチャーのような楽しみかもしれない。
『ワカコ酒』では、ショートストーリーが多いながらも、数話ごとに少々長めのストーリーが展開する。
それは、冒険活劇のような巨大な起承転結の波こそ起きない日常のなか、旅行や友だちとの飲み会など、「きょうこんなことがあったよ!」といった感じのイベントが切りとられたもの。
今巻では、結婚・退社した元同僚の家に会社の仲間と遊びに行った日。家で思うぞんぶんにごろごろしまくった日……。といった具合だ。
日々つつましやかに勤め人として生きる彼女にとって、そのささやかな楽しみは、プライベートなひとりの時間にこそある。
それは私たちも同じことだろう。
そういったリアリティある共感、かつ「ほんの少しうらやましい」冒険をする彼女に、今回も魅了されるのだった。
<文・沼田理(東京03製作)>
マンガにアニメ、ゲームやミリタリー系などサブカルネタを中心に、趣味と実益を兼ねた業務を行う編集ライター。