365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月22日はチンチン電車の日。本日読むべきマンガは……。
『三丁目の夕日 夕焼けの詩』 第3巻
西岸良平 小学館 ¥505+税
8月22日は「チンチン電車の日」。
これは1903年のこの日に東京都内ではじめて「チンチン電車」の愛称で親しまれる路面電車が走ったことにちなむもの。
当時の路線は現在の都電とは異なり、新橋~品川間で営業が開始された。
しかし路面電車は自動車の発展とともに「渋滞の原因」とされたこともあり、多くの路面電車は地下鉄へと転換。昭和の高度経済成長の頃は衰退の一途をたどっていた。
そんな都市の発展のはざまに取り残されつつあったころの光景が描かれているのが、西岸良平の『三丁目の夕日 夕焼けの詩』の1エピソードである「父さんのチンチン電車」。
かつて少年の頃はチンチン電車の運転士をしていた父に憧れていた主人公。
だが、年齢を重ねて公務員を目指すようになり、時代も自動車が中心の社会へと変質。チンチン電車が時代遅れとなっていくとともに、次第に父への尊敬の念も薄れていくが、久しぶりに乗ってみたチンチン電車で見たものは……?──という、非常に『三丁目の夕日』らしさにあふれる、ほんのり心あたたまるエピソードだ。
現在では再び、路面電車はエコロジーなどの観点から、都市部の移動手段として存在価値が見直されている。
そしてつい最近も、移動速度がゆっくりしているゆえに『ポケモンGO』の移動距離稼ぎに最適……などと、思わぬことで注目されたこともあった。
とまぁ理由は様々だが、今も市民の足として愛される路面電車。
もちろん、通勤通学の手段としてもしっかり現役ではあるのだが、やはり路面電車には、どこかほのぼのした風情を感じてしまう。
なので、たまには空いている時間を狙ってのんびりと、路面電車に揺られながら『三丁目の夕日』を読んでみるのもオツではないでしょうか。
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。