365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
8月26日はRX-7の生産が終了した日。本日読むべきマンガは……。
『湾岸MIDNIGHT C1ランナー』 第1巻
楠みちはる 講談社 ¥533+税
2002年の本日は、自動車メーカー・マツダを代表する……といって差しつかえないであろう、スポーツカー・RX-7の生産が終了した日。
「サバンナRX-7」の名で発表された初代の誕生は、1978年にまでさかのぼるモデル。
当時のスーパーカーブームで一躍人気となったリトラクタブルヘッドライト(開閉式のヘッドライト)を採用した特徴的なデザインは、子どもたちにとっても憧れの的となった。
そのせいか、『ウルトラマン80』のパトロール車輌(スカウターS7、なお設定上の最高速度は時速750キロ!)や、『宇宙刑事シャイダー』の女宇宙刑事アニーの愛車など、やけに特撮作品でもおなじみの自動車だったりもするのだが、その後は大幅なフルモデルチェンジを経て、よりワイルドな風貌に。
なお、リトラクタブルヘッドライトが安全性などの観点から世間一般ではどんどん廃れていくなか、RX-7はシリーズを通して最後まで採用。そしてエンジンはもちろん、マツダを象徴するロータリーエンジン……と、その独自の美学と哲学を貫いたスタイルには今なお根強いファンが多いのも頷けるだろう。
ちなみに、ガンダムの型式番号「RX-78」も、その元ネタはデザイナーの大河原邦男氏がRX-7のオーナーだったことに由来するとされている。意外とRX-7、オタク文化とも関わりが深いのである。
とまぁ、非常に人気が高いスポーツカーゆえ、RX-7はマンガ作品にも幾度となく登場しているのだが、本日紹介しておきたいのは『湾岸ミッドナイト C1ランナー』。
なにせこの作品ときたら、RX-7抜きには成り立たないほど、ストーリーにがっつりRX-7が関わっている。
物語は、RX-7 Type Rを愛車とする主人公・荻島信二が、自身の関わるチューニングファクトリー「RGO」の偽ロゴステッカーを貼り、荒っぽい走りをするヤンチャなRX-7の正体をつきとめるエピソードからスタート。
最初から本物VSニセモノのバトルとは、まるで『ゴジラ対メカゴジラ』のような熱さ(そのたとえが適切かどうかはさておき)だが、その問題の車を駆る意外なほど素直な性格の少年・ノブといい、事故車ベースとは思えないほどの走りを見せるRX-7を作ってしまった「スーパープライベーター・キムスク」こと木村進といい、RX-7が縁となって魅力的な人物が次々に集まってくるのである。
そして単に走り屋の話にとどまらず、評論家として理想の自動車雑誌を作りたいという荻島の夢をめぐり、男と女、男と男が濃厚なドラマを展開するのも本作のポイント。
なんとな~く本作を「公道レースとか好きなヤンキーが読むマンガ」みたいな先入観で敬遠している人がいるとすれば、「読んでないなんて、もったいない!」のひと言につきますよ!!
<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。