このマンガがすごい!WEB

一覧へ戻る

【きょうのマンガ】8月1日は花火の日! おすすめするのは……

2014/08/01


hanabijin_s01

『はなびじん』第1巻
望月玲子 講談社 400+税


8月1日は、花火の日。これは1967年に制定されたもので、花火に関する3つの出来事、それも記念と追悼とに由来している。
ひとつは、1948年の8月1日、戦後はじめて花火が解禁されたことに対する記念。2つめは、1953年の8月1日、大阪府富田林市で日本最大規模の花火大会(教祖祭PL花火芸術)の開催が始まったことに対する記念。そして最後が、1955年の8月1日、東京墨田区厩橋の玩具花火問屋で起こった、大規模な爆発事故に対する追悼。
人々を楽しませてくれる花火だが、火薬をあつかうだけに危険もつきもので、そこにはさまざまな歴史があるのだ。

そんな花火の世界を、作り手の側から描いた作品が、「タケコさんの恋人」シリーズで知られる望月玲子の『はなびじん』。
出張先のロスで見た花火をきっかけに、24歳の会社員・絢音は、火花と音が夜空に織りなす芸術の虜に。念願だった海岸勤務の辞令がおり、キャリアアップする機会に恵まれるが、本当に自分が夢中になれるものを考えた結果、「花火師になりたい」と、花火の世界に飛びこむこととなる。

主人公の絢音も少しずつ知っていくことになるのだが、花火師の世界は封建的でたいへんきびしい。そもそも職人になりたいと思っても、ツテのない人間が入っていける業界じゃない。さらにそこから、努力と才能、そしてきびしい修行が続いて、はじめて火薬に触ることが許される。
なんとか見習いとして荘田煙火店に雇ってもらった絢音。彼女はそこで、花火と生きてきた人たちのさまざまな思い、悲しみや喜びに触れることになる。
花火ができるまでの苦心や苦労、またそれがあるからこその花火の美しさも知ることができる作品だ。

マンガで花火鑑賞も、意外といいものですよ?



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

  • 『はなびじん』第1巻 Amazonで購入
  • 『はなびじん』第3巻 Amazonで購入
  • 『タケコさんの恋人』第1巻 Amazonで購入

関連するオススメ記事!

アクセスランキング

3月の「このマンガがすごい!」WEBランキング