『ミッドナイト』第1巻
手塚治虫 秋田書店 562+税
1912年8月5日、日本で最初のタクシー営業が開始された。有楽町に同年7月10日に設立された「タクシー自動車株式会社」が、6台のT型フォードにタクシーメーターをつけて営業を始めたという。
このことから、全国ハイヤー・タクシー連合会により、8月5日はタクシーの日と定められている。
手塚治虫の『ミッドナイト』は、深夜のタクシー運転手を務める主人公・三戸真也(通称・ミッドナイト)が、様々な乗客に出会うというという作品。
じつはミッドナイト、ライセンスを取得していないという「モグリ」の運転手。この設定に、手塚の代表作『ブラック・ジャック』を連想する人もいるかもしれないが、実際に本作にはブラック・ジャックがゲスト出演するエピソードもある……どころか、本作最終話では、主人公・ミッドナイトの運命に、ブラック・ジャックが大きく絡むこととなる。
驚きの最終話は、手塚の意思で単行本への収録は見送られ、長らく「幻の最終回」となっていが、現在では秋田文庫版などで読むことができる。
タクシーの日、ぜひとも自らの手で、『ミッドナイト』最終回を確かめてみては!?
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
Twitter:@mikitty116