『ガラスの仮面』第11巻
美内すずえ 白泉社 ¥463
1880年6月27日に生まれたヘレン・ケラーは、2歳のときに高熱にかかり、聴力、視力、言葉を失った。
その後、家庭教師アニー(アン・サリヴァン)に出会い、言葉を発することができるようになったヘレンは、自身の経験を生かし、教育家・社会福祉活動家への道を進むこととなる。
ヘレンが三重苦を克服したエピソードは、1959年に戯曲『奇蹟の人』としてアメリカで初演され、日本でも何度も公演された。日本ではアニーを大竹しのぶや市原悦子、ヘレンを寺島しのぶや菅野美穂などの有名女優が演じている。
マンガ界が誇る舞台女優といえば、美内すずえ『ガラスの仮面』の主人公・北島マヤだろう。
物語のなかでも、マヤが「奇蹟の人」を演じるエピソードがある。マヤは、ライバルである姫川亜弓とヘレン役をめぐってオーディションで対決し、Wキャストで舞台の幕を開けることになる。
施設に入って勉強をした亜弓の演じる、完璧なヘレンに対し、目と耳を隠して生活してきたマヤによる、自由奔放で何が起こるかわからないヘレン。好対象なライバル2人が演じる、2通りのヘレン・ケラーの勝負の行方は、ぜひ単行本で。
<文・小林美姫>
ぴあを経てフリーで活動。『井上雄彦ぴあ』『ワンピースぴあ』『ポケモンぴあ』『プリキュアぴあ』『細田守ぴあ』(ぴあ)、『プリキュア10周年公式ブック』(メディアパル)など。
Twitter: @mikitty116