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『亜人ちゃんは語りたい』 第4巻 ペトス 【日刊マンガガイド】

2016/10/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『亜人ちゃんは語りたい』


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『亜人ちゃんは語りたい』 第4巻
ペトス 講談社 ¥602+税
(2016年9月20日発売)


アニメ化が決まったこのマンガ。「亜人」で「デミ」と読みます。

人間と異なる生態を持って社会に生きる亜人。
生物教師の高橋鉄男は興味を持っており、バンパイアの小鳥遊ひかり、デュラハンの町京子、雪女の日下部雪など、生徒たちとじっくり会話を重ねていく、というのが主な内容。

感情論では語らず、生態を調べ、きっちりと論理的に考えていく。
第4巻では「亜人の特別扱いはありか」、「高橋先生だけが彼女たちの世話を見るのは正しいのか」という、難しい話題が出てくる。 亜人の生徒は相談相手を分散したほうがいいのではないか、という一理ある意見だ。

これは、亜人に対するバリアフリーの問題につながっていく。
作中の人はみんな親切だ。だれも亜人をいじめない。しかしどう対応していくかはみんな手探りで、うまく答えが見つからない。

ひかりのクラスメイトはこういう。
「それはつまり“違うところはある”ってことでしょ?」
「そこを見ないで“同じ人間だー”って
 それこそ差別なんじゃないかな」
「妄信的に“同じ人間だー”って思ってる相手に
 デミ特有の悩みとか相談したいって思う?」

高橋先生はあまり複雑に考えず、目の前にある事実をそのまま飲みこむ。
亜人たちの悩みや困惑を、「普通だよ」とはいわない。そもそも「マジョリティ」ではないのだから。

この巻で登場する相馬は、物理面から亜人の仕組みを分析する。デュラハンの町は自分の状態を漫然と受け入れていたが、相馬との出会いで自らの身体の構造を知ろうとするようになる。
人に教えてもらうだけではなく、自分から知ろうとし始めたのは、大きな変化だ。

コメディタッチで繊細な問題を扱い続ける作品。
現実世界の人間の差別問題を、ふと思い浮かべてしまう。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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