『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』第1巻
ペトス 講談社 \602+税
(2015年3月6日発売)
サキュバス、バンパイア、デュラハン。
僕らとちょっとだけ違う、それが「亜人(デミ)」。そんな彼らの生態に興味を持つ生物教師の高橋鉄男だったが、亜人の絶対数は少なくて出会いは限られている……と思ったら、数学教師として赴任してきたサキュバスの佐藤早紀江。いきなり会えたー!
マンガやラノベで「亜人」はおなじみの存在だ。最近はモンスター娘がプチブームで、ラミアやハーピー、スキュラといった魔物を女性化したヒロインと恋愛もオッケー、ゲームなら攻略対象だったりする。
触手が好き、下半身がお馬さんラブ! というケモナー的な特殊性癖もあるにはあるが、一般的に亜人は「フツーじゃない恋がしたい」というあこがれの現れだろう。心ときめかせる恋は非日常、リア充もできないファンタジー体験をしたい……宇宙人の押しかけ女房やロボット娘との悲恋も亜人ものの一種だ。
そういうソフトな非日常と「手足が8本や肉体がゲル状」など上級者向きの間にあったエアポケットを埋めるのが、この『亜人ちゃんは語りたい』。
鉄男が接する4人はどれもボディが人間型で、『うる星やつら』や『天地無用!』などクラシックな亜人好きのオッサン読者にも優しい。
というか、亜人たちはれっきとした人間だ。突然変異でごくまれに生まれる、変わった特性を持つ人達である。えくぼがあるとか八重歯が長いとか、その程度の「個性」にすぎない。
パンパイアの小鳥遊ひかりも活発で、体質的に人より血が足りなくなりやすいだけの女子高生。血を飲まないパンパイアをどう思うか聞かれて、
菜食主義者みたいにすげーなー+でも自分には関係ないな+巻きこまれたくないな、と答える。
そして、雪女のクラスメイトの首すじに牙をつき立てるのを空想してエッチっぽいと赤くなる、お年ごろの女の子だ。