『ゴジラ漫画コレクション 1954-58』
阿部和助/藤田茂/杉浦茂 小学館クリエイティブ ¥2,000+税
(2014年7月23日発売)
待ちに待ったゴジラ映画の最新作『GODZILLA ゴジラ』(ギャレス・エドワーズ監督)が公開、日本国内興行第1位という好スタートを切ったことは、記憶に新しい。
盛り上がりを見せるゴジラ生誕60周年を記念して出版された本書は、初代『ゴジラ』および続編の『ゴジラの逆襲』公開当時に発表されたマンガが収録された、貴重な復刻作品集だ。
初代ゴジラのデザインにも協力した、阿部和助(代表作は『山男ダンさん』など)による「科学冒険絵物語 ゴジラ」は、タイトルの「科学冒険」の名に恥じない重厚なストーリー展開。怪獣というより、かなり恐竜に近く描かれる、阿部独自のタッチによるゴジラも見どころだ。
『空の大怪獣ラドン』や『大怪獣バラン』『美女と液体人間』などの東宝作品のマンガ版も描いている藤田茂による「ゴジラ」と「続・ゴジラ アンギラスの逆襲」は、正統派のコミカライズ作品。時たま織り交ぜられる、コミカルなシーンも楽しい。
そして、やはり本書の目玉作品は、赤塚不二夫や日野日出志などにも大きな影響を与えた、日本マンガ史の大巨匠・杉浦茂の2作品だろう。
「ゴジラ」では、都市を破壊するゴジラの「おれは 世界一 つよいんだぞう」というセリフと、それに対する群衆の「もうじゅうぶんに わかったよう」という悲鳴など、まさに「杉浦節」としかいえないシュールなシーンが満載。
「大あばれゴジラ」には、アンギラスとともに「ショットス」「オソロス」「ゾットス」「スゴン」という、宇宙人のようなゾウのようなレンコンのような深海生物のような……とにかく杉浦テイストにあふれた奇怪なデザインのオリジナル怪獣たちも一挙登場。
両作とも、もととなる映画のテイストとは180度異なる、過剰なまでにコミカルなゴジラワールドが展開されている。
気鋭の映画監督によって、海外から新たなゴジラが生まれた記念すべき2014年。
自在にその様相を変えていった「ゴジラ」シリーズの歴史の一端を、本書で体感してみよう。
<文・山田幸彦>
91年生、富野由悠季と映画と暴力的な洋ゲーをこよなく愛するライター。怪獣からガンダムまで、節操なく書かせていただいております。
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