日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『本橋兄弟』
『本橋兄弟』 第1巻
RENA リイド社 ¥628+税
(2016年9月10日発売)
“本橋兄弟”は2人暮らしの高校生。兄の本橋貴也(19)は高校2年……って、あれっ?
そう、これは留年の結果なのである。
彼はバイトの虫で、また家事にもなかなかマメなご様子。
弟の本橋智也(18)は高校3年、こちらはキリッとした眼差しのバスケ部員だが、その内面はシュールすぎる天然ボケ!?
パッと見イケメンな男たちの生活空間にぐぐっとフォーカスしてみると……。貴也がまじめな顔してやってるのは弟へのキャラ弁作り(しかも貴也自身の顔? しかもドヘタ!?)。
見た目はガタイのいい一人前の男たちなんだけど、2人でいる時の会話や行動はなんとも子どもっぽくて。
きっと小学生くらいの頃からほとんど変わらないんだろうな、とほほえましくもギャップ萌え。
そんな2人の脇をかためる人物もクセモノばかり。
2人の幼なじみで、オタクすぎる残念な美青年・井口恵(17)。貴也と智也、恵がわちゃわちゃ戯れるのを腐女子目線でひそかにガン見する登美江(17)。そして、貴也がバイトするカフェのオーナー・真田要司(32)は、貴也の大ファンを通り越してモロ狙ってる危険な男。
……といった面々に囲まれ、ユルくも楽しい日常が繰り広げられる作風かと思いきや、ところどころに挟まれる兄弟の絆を感じる箇所にグッときてしまう。
ことに本巻の終盤に登場する、兄弟の幼い頃のエピソードを読めば“今の2人”の生活がまた違う彩りをもって見えてくるのだ。
<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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