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『ベスト・オブ・デッドプール』 マシュー・K・マニング(著) 中沢俊介(訳) 【日刊マンガガイド】

2016/12/01


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ベスト・オブ・デッドプール』


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『ベスト・オブ・デッドプール』
マシュー・K・マニング(著) 中沢俊介(訳) 洋泉社 ¥3,000円+税
(2016年10月12日発売)


2016年に知名度を一気に高めたアメコミヒーローといえば、6月に公開された実写映画が大ヒットを記録したデッドプールだろう。
映画の公開前から邦訳アメコミ界隈で注目が集まり、出版される邦訳アメコミも高い売り上げを誇っており、気がつけば10冊以上も邦訳版がリリース。
社会現象……まではいかないものの、間違いなく「時の人」ならぬ「時のアメコミヒーロー」として、2016年のアメコミ映画&邦訳アメコミをリードしてきたことは間違いない。

2016年に急に注目されたことから、デッドプール=新しいヒーローのように感じている人も多いかもしれないが、彼がアメコミにデビューしたのは1991年。
スパイダーマンやアイアンマン、ハルクが60年代デビューであることを考えると、90年代に生まれたデッドプールは新しめのヒーローであることは間違いないが、とはいえデビューから数えれば今年が25周年にあたるのだ。

そんなデッドプールのデビューから現在までの活躍を知ることができる「デッドプールのガイドブック」ともいうべき書籍が邦訳されたのである。
それが『ベスト・オブ・デッドプール』だ。

デッドプールは、1980年代後半から1990年代にかけてアメコミ業界を牽引していた『X-MEN』シリーズのひとつ、『ニュー・ミュータンツ』誌にて1回きりの使い捨てキャラとしてデビューを飾り、そのキャラクター性の強さからその後も生き残ることになる。
その後、デッドプールは少しずつ設定やキャラクター性が付加されることによって、現在のアメコミファンがよく知る、アメコミヒーローの常識を突き破る破天荒なキャラクターへと成長していくわけだが、本作では彼のこれまでの活躍をテーマや時系列に整理することで、その変化を解説していく。

もちろん、各エピソードに関してはその活躍などの図版もふんだんに使われているので、文字だけの解説書というよりは、ある意味デッドプールがよくわかる図鑑的なイメージといったほうが、イメージが伝わりやすいだろう。
さらには、様々なヒーローコミックスのパロディとして描かれたカバーアートなども大きいサイズで多数収録されており、デッドプールのアート集としても楽しむことができる。

「デッドプールのことをもっと知りたい!」というファンにとっては、これ1冊でその概要を知ることができるので、その魅力にやられてしまった人は、ぜひ手に入れて彼の25年の歴史を味わいつくしてほしい。



<文・石井誠>
1971年生まれ。アニメ誌、ホビー誌、アメコミ関連本で活動するフリーライター。アメコミファン歴20年。
洋泉社『アメコミ映画完全ガイド』シリーズ、ユリイカ『マーベル特集』などで執筆。翻訳アメコミを出版するヴィレッジブックスのアメリカンコミックス情報サイトにて、翻訳アメコミやアメコミ映画のレビューコラムを2年以上にわたって執筆中。

単行本情報

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