日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ラブラブエイリアン』
『ラブラブエイリアン』 第3巻
岡村星 日本文芸社 ¥590+税
(2016年11月19日発売)
「世の中に毒を撒き散らす目的で描き始めた」と著者が語る本作。
新木優子、森絵梨佳、太田莉菜、久松郁実ら主演でドラマ化もされたが、なんと「売れ行きが伸びていない」とのこと。本音満載、毒舌炸裂系ガールズトーク作品でも「毒」がキツすぎたのかなあ、おもしろいと思うんだけど。
ほとんどの赤裸々ガールズトークものは主役キャラが美人だったりセクシーだったりして「※ただしイケメンに限る」の女性版というのがほとんどである。
本作も、ドラマ化に際して美女ばかりがキャスティングされて違和感がないのだから同じ穴のなんとやらともいえるだろう。
しかし今巻では冒頭から
「私なんかデブだし暗いし人見知りだし」
「私なんか太っててかわいい服も全然似合わないし!!」
と叫ぶスミレちゃんが登場。これはこれで大丈夫なのか?
浮気してフラれたうえにヨリを戻そうと迫ったあげく「また俺と付き合えんだぜ!」とあたかもメリットがあるかのごとく叫ぶ男、飲み会で「Cカップ以下の女に人権は無い」といい出す男、などなど男のひどいところばかりつめこんでくるのかと思いきや、男ばかり悪者にするわけでもなく、まともなことをいう男もいれば、くだらないことしかいわない女もいて……。
罵詈雑言が生々しいのも一貫してるけど、本音系ガールズトークものの枠には収まらない多面的な作品。
地味に怒涛の展開があって、主要4人がアパートから出て行くことになり、暗くてデブだったはずのスミレちゃんが次巻以降の主役になるのか?
ノリが駕籠真太郎に近づいている気がするので、さらなる暴走に期待。
<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
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