365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月13日は双子の兄・姉が決まった日。本日読むべきマンガは……。
『星上くんはどうかしている』 第1巻
アサダニッキ 講談社 ¥429+税
本日のテーマは双生児、いわゆる「双子」である。
一般的に双子の兄弟の場合、あとから出産したほうを長子(兄または姉)だと考える人はけっこう多いのではないだろうか? たしかに、母親の産道に外部から父親の精子が侵入したと考えるならば先に着床したほうがより奥にレイアウトされるため、出産時は遅れて出てくる……というのはあくまで明治初期までの俗説。 生物学と保健医学の教育が充実した現代日本では、双子の発生メカニズムからしてそんな現象はありえないと小学生でも知ってるぞ、たぶん。
1874年12月13日、明治政府の太政官指令により「前産ノ児ヲ以テ兄姉ト定候」、つまり“先に産まれた方を兄・姉とする”ことが法律で定められた。
ただし、この考え方はくだんの俗説のせいでなかなか改まらなかったようで、二十数年後に司法省より再度のお達しが出ているようだ。
双子という要素はマンガにおいても非常に融通の利くもののようで、これまでもどっちかが死んだり、ときどき入れかわったり、ほかの兄弟にはできない様々な設定にもとづくドラマが生まれてきた。
今回紹介する『星上くんはどうかしている』はそういった要素のひとつ“似てない双子”がドラマを展開させている。
クラスのだれともそつなくつきあえる女子高生・三毛野(みけの)いさりはある日、クラスメートの星上望(ほしがみ・のぞむ)に「友達の作り方を教えてください」と請われる。
クラスでも存在感が薄く「ダメ上」なんて呼ばれている望に「なんでわたしが?」と思いながらもしぶしぶつきあういさりだったが、そこに弟の求(もとむ)があらわれて「望に近づくな」とすごむ。学内でもキラキライケメンの超人気者・求の裏の顔を知ってしまったいさりは、なんだかほっとけない望との奇妙な三角関係にたたきこまれる……。
漫画家にとって双子の描き分けは一見困難に思えるが、著者はリアクションなどの表情ひとつとっても巧みに描き分け、似てない性格までも表現している。
くしくも記念すべき本日、最新第5巻が発売となる。
未読の方もこの機会にぜひ手に取っていただきたい!
<文・富士見大>
レンコンはなんといっても筑前煮の乱切りしたヤツだろうと思う編集・ライター。特撮のあれこれやマンガのあれこれに携わり、最近作は『「仮面ライダー」超解析 平成ライダー新世紀』、「東映ヒーローMAX Vol.54」。ただいま絶賛発売中の『「ウルトラマン超解析」大怪獣激闘ヒストリー!』にも参加しています。