365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
12月19日は『水戸黄門』が終わった日。本日読むべきマンガは……。
『光国さまがゆく!』 上巻
津山冬(作) ホームラン・拳(画) リブレ出版 ¥600+税
2011年12月19日。
TBSの時代劇『水戸黄門』が、ついに最終回を迎え最後の幕を引いた。
その放映期間はじつに42年。本当に高い人気を誇った長寿番組だったことは、まだ記憶に新しい。
ご存じのとおり、水戸黄門こと水戸光圀公とお供の助さん格さんが、諸国を漫遊して各地で世直しをするというのが基本ストーリーだ。
普段は本来の身分を伏せているが、ここぞという時に印籠をかざすと、悪人たちがははーっとひれ伏す。
黄金のパターンだがそこには常に痛快さがあり、そのわかりやすい図式も愛された理由のひとつだろう。
さて本日ご紹介するのは、この名時代劇のエッセンスを非常にうまく活かしたコミックで、その名も『光国さまがゆく!』。
徳川の世に、年上のイケメンお供の介と覚(&タヌキのゆべし)を従えて、諸国を渡り歩く少年がひとり、その名も徳川光国。
おいしい甘味を求めて、きょうは下野、明日は加賀。
一見のんびりとした物見遊山に見えるが、彼らの本当の目的は――。
本作の魅力をひと言で表現するなら、「痛快娯楽・パラレル時代劇」といったところ。
ストーリーは基本的にテレビの時代劇を模していて、わかりやすくエンターテインメント性に富んでいる。
だが単純な勧善懲悪ではなく、二元論では割りきれない部分が常に残り、それが主人公の少年光国を成長させていくカギになっているあたりも心憎い。
また絵柄がとても美しいうえにセンスがよく、しかも萌えどころにあふれたキャラクターが満載となれば、おもしろくないはずがない。
お供の介・覚も魅力的なのだが秀逸なのはやはり光国で、その衣装たるや、時代ものに耳付きフードってありなの? いやありでしょ!! といわせてしまうショタ殺しパワー炸裂なのだ。
きょうは本作で時代劇の魅力を満喫し、さらには『水戸黄門』の思い出に浸るもよし、コミックのキャラに萌えるもよし。
日本の誇るエンターテインメントを、心ゆくまで楽しんでみてはいかがだろうか。
<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
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