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12月22日は「三方ヶ原の戦い」が起こった日 『センゴク』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/12/22


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

12月22日は三方ヶ原の戦いが起こった日。本日読むべきマンガは……。


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『センゴク』 第10巻
宮下英樹 講談社 ¥533+税


元亀3年12月22日(1573年1月25日)、三方ヶ原(現在の静岡県浜松市)にて武田信玄と徳川家康・織田信長連合軍が激突した。
この直前まで武田と織田は強固な同盟関係を結んでいたが、なぜ戦うことになったのか?

仙石秀久=仙石権兵衛を主人公にすえたリアリティ追求型・戦国ロマン『センゴク』では、第8巻から9巻にかけて宮下英樹の独自解釈も織りこみつつ詳細な流れが解説され、第10巻をまるごと「三方ヶ原の戦い」にあてている。

比叡山焼き討ちで勢いづいた織田信長に対して、宿敵である本願寺の顕如(けんにょ)は甲斐の武田信玄に挙兵を要請。
信玄の妻は顕如の妻の姉。つまり2人は義理の兄弟なのだ。

これに巻きこまれたかたちなのが、武田領・駿河の隣国、三河の徳川家康。徳川も織田とは同盟関係にあるので、大井川を挟んで領内へは不可侵条約が交わされていたが、武田側が反故にして侵攻したため、両者はバチバチと小競り合いを続けていた。

信長は和睦を進めるが、信玄はこれを拒否。甲府より3万の兵を率いて出陣した時点で、織田・武田の同盟は崩壊した――。
織田・徳川と武田が激突するまでの流れは、ざっとこんなところ。羽柴藤吉郎隊から佐久間信盛隊に合流した仙石も、浜松城への救援部隊に組みこまれる。

その後、浜松城に籠城していた家康と佐久間隊は、たった300人の兵に城を攻められ、戦場に誘い出されてしまう。
対する武田軍は、極めに極めた精緻な合戦手法で迎撃態勢を取る。武田3万VS徳川1万。圧倒的な武田優位の戦局において、家康はどのように戦ったのか? わずか2時間の凄絶な戦いが幕を開ける。

この『センゴク』は、馬上で武士が日本刀を振り回しながら戦ったり、騎馬武者が一列に並んで突撃をかけたりするような、実際の合戦では絶対に行われなかったであろう盛り盛りの演出を排除することを信条としている。
この三方ヶ原の戦いに関しても、通説にある武田軍の陣形に疑問を呈し、実際の地形を念頭において実情に近づけたかたちの合戦を描いている。

武田軍に追いつめられた家康だったが、ここで討ち死にしていないのは、ご存じのとおり。
とはいえ信玄の恐怖を存分に植えつけられた負け戦であり、多くの犠牲者を出した戒めとして肖像画(徳川家康三方ヶ原戦役画像)を残している。左手を頬に沿えて苦虫をかみ潰したかのような表情をしたマンガライクな1枚は、あまりにも有名だ。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口を凌ぐライター。

単行本情報

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