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『たくあんとバツの日常閻魔帳』 第3巻 井谷賢太郎 【日刊マンガガイド】

2017/01/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『たくあんとバツの日常閻魔帳』


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『たくあんとバツの日常閻魔帳』 第3巻
井谷賢太郎 集英社 ¥400+税
(2016年12月31日発売)


閻魔大王の娘と少年の、鬼ノ怪(もののけ)退治アクション、完結。
ムチムチなお色気を含みつつ、大団円。

母が殺されて以来ひとり暮らしの少年・九十九多九郎(つくも・たくろう)。
彼のもとに現れたのは、閻魔大王のひとり娘・バツ。
閻魔大王が殺されたことで、現世に数多くの「鬼ノ怪」が解き放たれ、人にとり憑いて犯罪をはたらいているという。
じつは多九郎も、鬼ノ怪にとり憑かれていたひとり。
彼はバツといっしょに、鬼ノ怪にとり憑かれた人間を裁くべく走りまわる。

2巻までは街中で起きる鬼ノ怪騒ぎを追って解決していく、コメディタッチのなオムニバスだった。
第3巻では、閻魔大王殺害と、多九郎が鬼ノ怪に憑かれるきっかけになった母殺しの犯人を追い、物語の核心に迫る。

閻魔大王を話の中心に据えることで、「秩序」とはなんなのかを描きあげた。
そもそも秩序は、平穏な日常を守るためのものだ。
多九郎は、たまのステーキよりも、いつものたくあんの方が食卓を幸せにしている、という思想の持ち主。
普通の日々を守るには、法による「秩序」が必要だ。
だが「秩序」が必ずしも正義とは限らない。
根の部分を正さねば、曲解や悪用による歪みが生じることもある。
閻魔大王殺し・母殺しの犯人は、このスキをついてきた。

法による死刑はありかなしか。
軸にある問題は非常に難しく、答えがない。
だからこそ、この作品がライトなノリで表現していることに、価値がある。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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