日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『ちこたん、こわれる』
『ちこたん、こわれる』 第6巻
今井ユウ 講談社 ¥580+税
(2017年1月6日発売)
宮原チコは、引きこもり少女。だけど毎日学校に通っている。
本体は自室。彼女はアンドロイドのドローンを何体もつくって、遠隔操作しているのだ。
だから破損したり壊れたり(見た目には死んでる)しても、いちおうは大丈夫なはず。
ドローンのことを内緒にし続けて6巻目。
この巻では遠隔操作登校でいいのか、と価値観を揺るがす存在が出てくる。
みんなに恐れられている謎の生徒会長、御徒町レイナ。
彼女もまた、引きこもりで、PCを通じて音声のやりとりだけ学校で行っている。
境遇はチコと似ている。
レイナが引きこもるようになった理由を知ったチコは、彼女のために自分のドローンを1体改造し、自分と同じように学校に通わせるるよう試みる。
レイナはありがたく利用して学校に登校し、自分のトラウマを破る。
「ドローンを使うのは今日で最後にするよ 自分のちからで引きこもりを脱却できるように努力する!」
レイナの言葉は、チコの心に響く。
基本ドタバタギャグなこの作品、裏にはチコがずっと引きこもったままで、外に一歩も踏み出せないという重い事実がある。
彼女をサポートし続ける桜坂亮平(おうさか・りょうへい)と、その幼なじみのコスプレイヤー猫屋敷彩(ねこやしき・あや)の2人は、彼女の今の努力も、これから変えていこうとする姿も、励まし続けている(ただし猫屋敷はドローンであることは知らない)。
案外一歩踏み出せばたいしたことがないもの。だがその一歩がつらい。前に出るのは楽じゃない。
次巻第7巻は完結巻。
文化祭で、チコがドローンを壊さなければ本体で登校する、と決意をしているが、はたして。
なお第6巻では、変態暴走オタク幼なじみの猫屋敷の暴走っぷりも楽しいです。
<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」