365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。
2月10日はニートの日。本日読むべきマンガは……。
『MONSTER×MONSTER』 第1巻
飛田ニキイチ 小学館 ¥429+税
2月10日は「ニートの日」。
「ニートの日」は、WEB上で自然発生的に生まれた記念日と言われている。
だが、「レンタルお姉さん・お兄さん」などの活動で知られる認定NPO法人ニュースタート事務局は、この日に「ニート祭り」というイベントを開催し、2017年で11回目になるという。
“働かない若者”を指す言葉としてすっかり定着し、記念日までつくられるようになったニート。
そんな「ニートの日」にふさわしいのが、『MONSTER×MONSTER』だ!
時は大狩猟時代!
万能薬となる角。宝石以上に輝く瞳。あらゆる物を斬り裂く牙。絹よりなめらかで美しい毛皮。
巨大な獣たちを狩り糧とするこの世界の中心にいるのは「狩猟者(ブリンガー)」と呼ばれる者たち!
しかしこの物語の主人公は、職案通いすらサボるニートだった。
とにかくこの著者、画力が超絶ある。
すんげぇ画力で説得力ありまくりの世界を創出しているのだ。
で、せっかくそのすさまじい画力とイマジネーションで、巨大なモンスターたちが跋扈するファンタジックな世界を創っておきながら、描かれるのは29歳ニート。
そのギャップにのけぞらされる。
主人公は知りあった狩猟者たちの生きざまに触れ涙を流すほど感動し、自分の不甲斐なさを悔やんだりもするのだけれど、たちまち他人ごととなって「って思ったけど、まいっか!」と鼻ホジしたりと、こりることがない。
わかるわー。
アカンけどその気持ち、わかるわー。
職案通いをサボってガールズバーでクダをまいたり、新作ゲームにうつつを抜かしたりと、このままニートの変わらない生活が続くのかと思われたが、第1巻ラストで街中に超大型のモンスターが登場。
家を失い、母とも別れ、主人公は狩猟者の師匠と行動をともにせざるをえなくなる。
主人公の過去や、主人公が持つ特殊な能力が明かされ、狩猟者修行が描かれていく。
少~しずつではあるが成長のきざしを見せる主人公だが、狩猟者の試験を受けるためのチームを組むために仲間をつのるコミュ力が必要だったりと、現実の道はけわしく面倒くさい。
勘違いや偶然に助けられながらも、それでもちょこっとずつ前進する主人公を、いつの間にか自然と応援させられてしまう。
2月10日は『MONSTER×MONSTER』を読んで、思いきりニート気分を満喫しよう!
<文・秋山哲茂>
フリーの編集・ライター。怪獣とマンガとSF好き。主な著書に『ウルトラ博物館』、『ドラえもん深読みガイド』(小学館)、『藤子・F・不二雄キャラクターズ Fグッズ大行進!』(徳間書店)など。構成を担当した『てんとう虫コミックスアニメ版 映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生』が発売中。4コマ雑誌を読みながら風呂につかるのが喜びのチャンピオン紳士(見習い)。