『ノゾ×キミ』第8巻
本名ワコウ 小学館 \429+税
(2015年6月18日発売)
マンションの向かいに住んでいる小峰ノゾミと素の自分を見せ合う「自分見せ合いっこ」をすることになった主人公の須賀キミオ。
初めはノゾミの突飛な行動に振り回されているだけだったが、徐々に打ち解けていく。
この巻が最終巻となるので、これまでにない急展開で物語が進んでいく。最終的には大団円って感じになるわけだが、2年生の終盤から、最終回では一気に卒業式まで飛んでしまうのはかなり大胆。もうちょっとノゾミとキミオの高校生活を覗いていたかったと思うしだい。
告白前の最後の見せ合いっこで、キミオはノゾミの好奇心により教室のすみでつまらない時間をすごさずにすんだといい、ノゾミはキミオに笑顔を教えてもらい、楽しい高校生活を送れていた。
どちらも、ともすれば浮いた存在と沈んだ存在として高校生活を送るかも知れなかっただけに、2人の出逢いは、2人が惹かれ合う以上のものがあったのだ。
現実にはあと一歩踏み出せないことが多く、奇跡的な出逢いもないから、埋もれた青春を送ることになってしまうのだが。それだけに輝かしくも見える。
もともとは小学館のケータイコミックサイト「モバMAN」で連載されていた『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』のスピンオフ作品。
『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』は読者対象年齢が『ノゾ×キミ』よりも高く、主人公も18歳の専門学校生。「自分見せ合いっこ」をするなど、設定は似通っているが、高校生らしいラブコメの王道的な話と展開は、『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』よりも万人受け。
ちょっと気になる人は、『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』の方もチェックをしてみてはいかがでしょうか。
<文・岡安学>デジタルモノなどのガジェット系を中心に雑誌やWebで活動するフリーライター。元ゲーム誌編集者で、ゲームやアニメ、マンガなどのメディアも守備範囲。ソフトとハードのどちらもこなす。現在、生活総合情報サイト「オールアバウト」にてデジカメのガイドも務める。