日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!
今回紹介するのは、『マザリアン』
『マザリアン』 第1巻
岡田索雲 双葉社 ¥600+税
(2017年1月28日発売)
『鬼死ね』の岡田索雲(おかだ・さくも)が放つ、摩訶不思議な“混ぜるな危険”SF。
生物・無機物問わず、様々なものが融合してしまう“ひずみ”現象が世界各地で起こり始めてから10年。大勢の不良相手に大暴れを繰りかえす大阪の高校生・木屋俊郎(きや・としろう)と、進学校で浮いた存在となり、陰湿なイジメを受けている野々宮桃子(ののみや・ももこ)は、目の前で“ひずみ”に遭遇してしまう。
ここから若干のネタバレを許してほしいが、表紙の白猫人間が俊郎である。
そして混ざってしまったのは桃子の愛猫・白粒(はくりゅう)だ。
一度、混ざってしまったらもとに戻す方法はないといわれているが、桃子は「私がその方法を探す」と宣言する。しかし、そんな桃子の身体にも異変が……。
この第1巻はまだまだ物語の序章にすぎず、俊郎と桃子の複雑な家庭環境や、“ひずみ”を意識しつつもだましだまし日常生活を送るいびつな世界の提示が中心。
物語が本格的に動き出し、“ひずみ”のミステリーを本格的にひもといていくのは、東京編に突入する次巻以降となる。
関西弁を主軸にして独特のテンポでやりとりされるセリフの応酬はあいかわらずの索雲節で心地よく、不穏な空気が充満する世界観とも絶妙に融合。
フライパンと混ざってしまったフリーライターを筆頭に、とんでもないルックスの融合者(マザリアン)も続々と登場し、物語はますますカオスに。
暴走する青春融合パニックから目が離せない!
<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。