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『恋ヶ窪★ワークス』 下巻 せきはん 【日刊マンガガイド】

2017/03/12


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『恋ヶ窪★ワークス』


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『恋ヶ窪★ワークス』 第1巻
せきはん 秋田書店 ¥700+税
(2017年2月13日発売)


2003年から「ミスター・バイク」に連載され、モーターマガジン社から大森しんや名義で出ていた、バイクショップ物語『恋ヶ窪★ワークス』『恋ヶ窪★ワークスLTD』を再編集したのが、今回の復刻版だ。

かつてレディースをやっていて、自殺しかけるまでにすさんでいた、あやめ。
今は小さな町のバイク屋「恋ヶ窪★ワークス」で働いている。
店を経営しているのは、中年オヤジ・ボス。自称「バイクの妖精」。
とても妖精というナリじゃないが、バイクのことはめちゃくちゃくわしく、なによりいつも楽しそう。

「恋ヶ窪★ワークス」には、近所のいろんなお客さんがやってくる。
9話のキャッチが「御近所ファンタジー」。
作中では、ボスの存在も含めて、ときどきちょっとだけ不思議なことが起きる。
もっとも、バイクに乗るという娯楽自体が、ちょっとしたファンタジー。
みんな、非日常の入り口と、センチメンタリズムを求めて、バイクショップにやってくる。

作中では乗っているシーンはあまり描かれていない。
バイクをめぐる人の輪や、メンテや改造のおもしろさ、バイク乗りのメンタルに焦点をあてている。
頼りない青年イクミは、「修行の旅」と称してひとりバイクに乗って出かけていった。
世界にひとつしかないエンジンが、老婆が住むゴミ屋敷のなかに眠っている。
亡くなった父親を「ものずき」という息子が、バイクを引き取るよう電話してきた。
あやめのバイクを見た少年は、転校した少女に会うため乗せていってほしいといった。

バイクのあるところに、人間のドラマがある。
バイクに乗る人は、合理性とかではなく「好き」の気持ちで乗っているからだ。

なお、下巻には短編『はじめてのタンデム』、『極楽ライダー』が収録されている。その他の短編は、Kindle版で発売されている『恋ヶ窪★ワークスLTD +大森しんや短編集』で読むことができる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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