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【インタビュー】山うた『兎が二匹』 山うた流マンガづくりに迫る! 秘密兵器は……フセン!? 最新作『角の男』を200%楽しむ!!!

2017/09/23


好きな漫画家は松本大洋! 一番好きなマンガは……

――漫画家になろうと思ったきっかけはおぼえてます?

山うた 小さい頃から漫画家にはなりたいと思っていたんですけど、それは3歳くらいから絵画教室に通っていたからだと思います。

――ずいぶん小さい頃から。

山うた おそらく土曜日も預けられる保育園がわりだったと思うんですけど(笑)。それで小学生の頃に母親に「漫画家になりたい」といったら、「お前には無理だ」といわれて、でも描くのは好きで趣味で続けてました。大学は映像学科に行ったんですけど、そこで気づいたのは……。

――はい。

山うた 私は映像には向いてない。

――そうなんですか?

山うた PVの撮影とかアルバイトに行くんですけど、みんなはスタッフさんの指示に「ハイ!」って答えている時に、私だけ話を聞きとれないんですよ。どうもみんなでモノをつくる感覚がわからないというか、私は自分がつくりたいものを自分だけでつくっていたほうが楽しいんだな、とわかりました。だからWEBデザイナーというのも、ひとりでタグを打ったり、デザインをしたりするのは性に合っていたんだと思います。

――じゃあマンガは完全に趣味で?

山うた 二次創作で同人誌即売会に出展してはいました。それで、ある時オリジナルの創作をやりたい、と思ったんですけど、出版社には相手にされないだろうな、という思いこみがあったんですね。

――同人活動をしている時には、今の絵柄になっていたんでしょうか?

山うた だと思います。昔からの知人は『兎が二匹』を見た時に、「いつものうたさんだね~」といってましたから。

――コマを割って、初めてマンガを描いたのは?

山うた 残っているのは、小学校の時のマンガクラブで描いたものです。その時はギャグマンガを描いてました。

――ギャグマンガお好きなんですか?

山うた 『ギャグマンガ日和』(増田こうすけ)がめちゃくちゃ大好きなんです。WEBデザインの仕事をしているときも、隣に『ギャグマンガ日和』の小野妹子がいて、「もっと働け」とか罵られながら働くとか妄想してました。

漫画家・増田こうすけの代表作。独特なギャグセンスで読者を魅了。ちなみに小野妹子は赤ジャージで聖徳大使のツッコミ役。

漫画家・増田こうすけ先生の代表作。独特なギャグセンスで読者を魅了。ちなみに小野妹子は赤ジャージで聖徳大使のツッコミ役。


――それはまた特殊な楽しみ方……というか、作風からはギャグマンガの印象がなかったので、ちょっと意外な感じがしました。

山うた 小さい頃に好きだったのは『ドラえもん ひみつ道具完全大事典』です。ボロボロになるまで読みました。1300もひみつ道具が載っているんですけど、「フエルミラーがあればお金が増やせるなぁ」とか、ひとつひとつ自分ならどう使うかを想像するのがすごい楽しかったです。

――なるほど。妄想するのがお好きなんですね。

山うた 他人といるのが苦ではないんですけど、ひとりでも全然楽しくいられるんです。

――ちなみに、一番好きな漫画家は?

山うた 漫画家では松本大洋さんが死ぬほど好きです。高校生の時にはじめて『ピンポン』を読んで、人体でパースを取っているところに、すごいびっくりして……。ノートにいっぱい模写しました。

――じゃあ松本作品では『ピンポン』が一番?

山うた 『花男』が一番好きです! あれの続きが読みたい! あの作品の舞台は片瀬江ノ島なんですけど、現地まで行って、作品に出てきた場所を見てまわったくらいです。

――聖地巡礼じゃないですか!

山うた 野球はあんまりくわしくないんですけど、『花男』はセリフまわしも展開も完璧だと思います。言葉にできない感情を、バーンと投げつけてくるようなところが好きなんですよね。

山うた先生が一番好きと話す、松本大洋先生の『花男』。野球をテーマにしたある父子の物語。

山うた先生が一番好きと話す、松本大洋先生の『花男』。野球をテーマにしたある父子の物語。


新作『角の男』、いよいよ連載開始!

――さて、いよいよ新作『角の男』の連載が「月刊コミック@バンチ」ではじまりました。どんな作品になりますか?

山うた 今回のテーマは差別です。

――毎回テーマは立てるんですか?

山うた ですね、私の場合は先に決めます。『兎が二匹』の場合は「不老不死ゆえの哀しみ」とか。

――それにしても、また重いテーマを選びましたね。

山うた 内容的にはファンタジーです。差別されるのは鬼なんですよ、角のある鬼。思考も感覚もまったく人間と変わらないのに、角が生えているという身体的な特徴から差別されています。架空の被差別者を用意することで、いろいろな状況がつくれるな、と。普通の人間の男の子と、鬼の男の子の物語……になる、と思います。

最新作『角の男』カラーカット。人間と鬼……「差別」という重いテーマをどう描くのか注目だ。

最新作『角の男』カラーカット。人間と鬼……「差別」という重いテーマをどう描くのか注目だ。


――ファンタジーということは、今回は取材のたいへんさは?

山うた 世界観は中国とか台湾の文化を取り入れたいなと思っているんです。その上できらびやかな衣装を着た民族と、奴隷にされてボロボロな服の民族がいて……。まあ、あくまでファンタジーなので、あんまり特定の民族に偏るような衣装にはしたくないですね。そこに気をつけてます。

――新作、楽しみにしてます!

山うた ありがとうございます。が、がんばります!

取材・構成:加山竜司


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<インタビュー第1弾も要チェック!>
【インタビュー】山うた『兎が二匹』 「人の頭をバットで殴りたい」!? 「不老不死は萌え」!!? 死なない女とただの人、悲しき恋はかくして生まれり!!!!

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