2017年8月に発売されたシリーズ最新作『大逆転裁判2』が大好評、そして11月22日に10年ぶりに3DS版となって『逆転裁判4』が再登場するなど、逆転裁判シリーズの勢いが止まらない!
今回は、『逆転裁判』[注1]の生みの親であるゲームクリエイター・巧 舟氏と、コメディアン、俳優、そしてクリエイターとして活躍する片桐 仁氏の熱~い対談が実現。逆転裁判、ゲーム、そしてものづくりへの想いがあふれまくりだ!
巧 舟氏と片桐 仁氏が逆転裁判シリーズを堪能!
――シリーズ最新作『大逆転裁判2』を遊んでみていかがでしたか?
巧 今日は、今年8月に発売された『大逆転裁判2』から、第二話をプレイしていただきました。舞台は19世紀末のロンドン、なんとあの夏目漱石さんに殺人容疑がかかってしまいます。漱石さんは、実際にその当時ロンドンに留学されていたので、物語にとりいれたんです。
片桐 僕はDSで『逆転裁判2』か『3』をプレイしたことがありましたけど、キャラクターの動きががぜんスゴくなっていますね。特に夏目漱石さんがすごい……というか、ビシッとポーズを決めてきますね。
巧 漱石先生、今や『大逆転』の人気キャラですね。彼の動きには、モーションキャプチャーの技術を使っているんですよ。
片桐 へぇ~! じゃあ俳優さんがいろいろと動いてくれて?
巧 そうなんです。俳優さんに「テキトーにおもしろいポーズをしてください!」とお願いして、そのなかからチョイスしました(笑)。ちなみに、このシリーズに夏目漱石さんを登場させるにあたっては、子孫の方に連絡をとって、ご許可もお願いしました。
片桐 19世紀末が舞台というのも興味深いですね。漱石さんだけでなく、シャーロック・ホームズの世界からもキャラが多く登場していて、世界観に親しみやすいというか、入りやすかったです。ホームズは最近、国内外のドラマや映画でも大人気ですね。
巧 『大逆転裁判』の世界のホームズは、超絶的な観察力で名推理を展開する……のですが、その推理はあまりに鋭すぎて、むしろ真実の向こう側まで飛んで行ってしまうので、主人公の成歩堂 龍ノ介(なるほどう りゅうのすけ)と助手の御琴羽 寿沙都(みことば すさと)が、その推理を修正すると、真実が見えてくる、というスタイルになっています。
――逆転裁判シリーズは昨年15周年を迎え、ますます快進撃ですね。こうした息の長いシリーズを生み出す、またはプレイする楽しみについて聞かせてください。
片桐 巧さんは、逆転裁判を作るにあたって実際の裁判を傍聴されたんですか? さっきプレイした『大逆転裁判』では、状況の優劣を表示する天秤とかに雰囲気がありました。
巧 じつは、会社の近所に裁判所があるので、スタッフ皆で勉強がてら、傍聴にいってみました。でも、実際の裁判では木槌でカンカン叩いたりしないのが衝撃でした。天秤もなかったですね(笑)。『大逆転裁判』の舞台のひとつ、イギリスでは陪審員制度をイメージして、あの大天秤をおいてみました。これまでは検事との戦いだったのが、そこに陪審員との戦いも加わり、ほかのシリーズとは違う裁判の特徴になっています。
片桐 シリーズが続いていくと、プレイヤーはそういう変化に楽しみを覚えますね。ストーリーの歴史など追いかけるのも楽しいですし。さっきプレイした『大逆転裁判』の主人公は、『逆転裁判』シリーズの主人公・成歩堂龍一のご先祖様なんですね。
巧 そうなんです。楽しめる要素をどれだけ作れるか、ですよね。「『逆転裁判』はファンタジーっぽい」なんて言われることもあるのですが、それは意識的にそうしています。リアルであることよりも、『裁判って、こうだよね』というイメージを重視した、エンターテインメント優先の世界観ですね。
- 注1 『逆転裁判』 主人公の弁護士となって、無実の罪着せられた依頼人の無実を、ムジュンを突くことで立証し、事件の真相を暴く「法廷バトル」という新たなジャンルを作り出したゲーム。第1作目は2001年発売。