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【インタビュー】天才の頭の中ってどうなってんだ!? 『チェイサー』コージィ城倉【前編】

2014/07/30


コージィ城倉先生の好きな手塚作品

――先生の手塚治虫「原体験」をお教えください。

城倉 俺が子供の頃の昭和40年代前半って、出版界で「もう手塚は古い」と言われてた時代なんだよね。アニメのタイアップ企画が多かったなぁ。『ふしぎなメルモ』とか『悟空の大冒険』とか。学年誌に掲載されていて、テレビアニメもやっているような作品は印象に残ってる。だから漫画家としてよりも、テレビアニメをいっぱいやっている人、と認識してましたね。

――では好きなマンガ作品というと?

城倉 リアルタイムで読んでいたなかでは『ブラック・ジャック』。でも、もう少し年をとってから読んだ『アドルフに告ぐ』がおもしろかったなぁ。そこから、手塚治虫が大人を対象にして描いた作品をさかのぼって読んでいきましたね。「ビッグコミック」で描いていた『きりひと讃歌』とか『奇子』とか『陽だまりの樹』とか。いちばん大好きなのは『ばるぼら』。

――「ビッグコミック」創刊が1968(昭和43)年ですね。

城倉 そう、だから完全に後追いなの。少年誌で手塚が「古い」と言われていた時代に、「ビッグコミック」とか「プレイコミック」で“大人の童話”的な感じで描いていたものは本当におもしろい。

――世代によって手塚治虫の受け取り方は全然違いますよね。

城倉 違います、違います。安孫子先生(藤子不二雄A)とかトキワ荘世代の人たちは『来るべき世界』とか『ロストワールド』とか『メトロポリス』って言うじゃない?俺より上の世代の人たちは、昭和30年代に単行本で出していた作品がいちばんおもしろいって言うしね。

――よく手塚は「映画的」な部分が評価されたと言われていますが。

城倉 マンガ評論とか手塚研究の本が好きでよく読むんだけど、俺はピンとこないんだよね。

本棚にずらりと並んだ手塚関連の資料。なかには貴重なものも!

本棚にずらりと並んだ手塚関連の資料。なかには貴重なものも!


城倉 一般的には、長編デビュー作の『新寶島』が映画的手法の先駆けと言われているんだけど。それはどういうことかと言うと、それまでのマンガでは、人物などの移動を表現するときは、舞台の右から左に動かすような描き方だった。それが、画面の奥から手前に向かって車が走ってくるような、立体的に描いた部分が「映画的」とされているみたい。それが「映画的」なのかと言われると、よくわからない。それに、手塚が発明したわけでもないと思うんだよね。マンガのテクニックって、誰が編み出したかわからないものが、みんながマネすることで技術が進歩するワケじゃない。でもまぁ、新しいもの好きだから、だいたい手塚治虫が真っ先に飛びついたんだとは思うけどね。

――もしくは、既存のものを組み合わせて新しい見せ方ができる、とか。

城倉 そうだね、他の人がやっていないことを手塚治虫がやり始めたことは間違いないと思う。今だったらSNSとかTwitterとかLINEとか、やってるかもしれない。

――炎上してそうですよね。

城倉 「萌え」とか言ってるかもしれない(笑)。


主人公・海徳光市とコージィ先生の共通点とは!? 後編はコチラ!
【インタビュー】おれが一番、手塚のすごさをわかっているっ! 『チェイサー』コージィ城倉【後編】

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取材・構成:加山竜司
撮影:辺見真也

単行本情報

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