複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう！　マンガを読めば、世相が見えてくる!?　マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう！　それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「人気グラビアアイドルのソースをかける唐揚げ登場」について。

『橋本マナミ写真集 あいのしずく』
橋本マナミ（著） 中村昇（写真） ワニブックス ￥2,800+税
（2014年6月27日発売）

ええっ!?
橋本マナミのソースをたっぷりつけてもらえる、だってッッ!?
「いったいなんのことやら？」と期待に胸を膨らませている読者も多いことだろう。
「週刊プレイボーイ」の創刊50周年を記念して集英社が営業している期間限定店舗「週プレ酒場」（東京都新宿）では、9月1日から14日にかけて唐揚げ食べ放題の「唐プレ祭」を開催。
橋本マナミさんを始めとする人気グラビアアイドル8人がチョイスしたソースを唐揚げにかけて食べることができるのだ。
たとえば橋本マナミさんなら「サルサ」、中村静香さんなら「わさび醤油」といったように、ソースの種類はバリエーション豊か。
キミはなにをかけるかッ!?
といったわけで今回は、「かけるもの」を特集する。
唐揚げにソース、下からかけるか？　横からかけるか？
みんな大好き「ぶっかけ問題」である。

『賭ケグルイ』 第1巻
河本ほむら（作） 尚村透（画） スクウェア・エニックス ￥581+税
(2014年10月22日発売)

「かける」といったら、まず思い浮かぶのはギャンブルだろう。
ギャンブルで「かける」のは、もちろん金銭や物品である。
現在、MBS・TOKYO MXほかでアニメが絶賛放映中の『賭ケグルイ』は、私立百花王学園を舞台とする学園ギャンブルマンガだ。
私立百花王学園は歴史と伝統のある学校で、政財界の有力子女が多数通っている。
ここでは学力やスポーツではなく、駆け引きや読心術、ここぞという時の勝負強さが重視されるため、何よりもギャンブルの強さが求められる。
主人公の蛇喰夢子（じゃばみ・ゆめこ） は、この学園に転校してきたばかり。
しかし、圧倒的な胆力とイカサマを見抜く洞察力で、「投票ジャンケン」などのオリジナリティあふれるギャンブルで勝利していく。
何よりも夢子は「ギャンブルは狂っているほど面白い」と断言するほどの「賭ケグルイ」なのであった。

『集英社文庫 リングにかけろ』 第1巻
車田正美 集英社 ￥590+税
（1998年7月発売）

さてほかにも「かける」といえば、やっぱり「リング」だろう。
車田正美の『リングにかけろ』といえば、ボクシングマンガの金字塔だ。
主人公の高嶺竜児（たかね・りゅうじ）は、姉の菊とともに、アルコール依存症でDVを振るう義父から逃げるように上京し、ボクシングジムに住みこみで学校に通うようになる。
やがて竜児は日本Jr.のチャンピオンへと成長し、さらには全日本代表の一員として世界中の強豪と戦う。
竜児の「ブーメランスクエアー」や「ブーメランテリオス」、ライバル・剣崎順の「ギャラクティカマグナム」や「ギャラクティカファントム」などのフィニッシュブローが大人気を博し、集英社の入口階段は「リンかけ階段と呼ばれている」とネタでいわれたほどだ。
菊と竜児の姉弟は、リングに青春と人生をかけたのである。

『金田一少年の事件簿』 第1巻
金成陽三郎（作） さとうふみや（画） 講談社 ￥379+税
（1993年2月10日発売）

そして忘れてはならないのが「ジッチャンの名」だ。
金田一耕助（ジッチャン）の名にかけて事件の真犯人を追い詰めるのは、『金田一少年の事件簿』の主人公・金田一一（きんだいち・はじめ）である。
伝説的な名探偵を祖父に持つ一（はじめ）は、祖父ゆずりの卓越した推理力を発揮して、数々の難事件を解決していく。そんな金田一少年が、事件解決の決意を示すときにいう決めゼリフが「ジッチャンの名にかけて」だ。
なお、『金田一少年の事件簿』はテレビドラマ化やアニメ化するほど大ヒットしたのち、2004年にいったん連載が終了したが、紆余曲折を経て現在は『金田一少年の事件簿R』として「週刊少年マガジン」にて連載中。
あいかわらずジッチャンの名にかけて、抜群の推理力の冴えを見せている。

で、実際に唐揚げに何かをかけて食べたりするのかと聞かれると、普段はせいぜいレモンくらいだったりするわけですが、この機会にソースでも人生でもジッチャンの名でもリングでもかけまくってはいかがでしょうか？
ギャンブルに関しては、まぁ、賭博罪ってのがありますから、ゴニョゴニョ。

＜文・加山竜司＞
『このマンガがすごい！』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー（オトコ編）を担当しています。
Twitter：@1976Kayama