複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。
今回は、「プロレスラーをオトす恋愛ゲーム登場」について。
『スイーツ真壁のうまいッス!! ~プロレスラー真壁刀義が挑んだ噂のスイーツ158~』
真壁刀義 KADOKAWA ¥1,200+税
(2015年4月2日発売)
秋深し。
JRA(日本中央競馬会)では今年も秋のG1シリーズが開幕した。
そしてG1といえば新日本プロレスだ。
今年の夏のG1クライマックスは、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの内藤哲也選手が渾身のデスティーノを決め、4年ぶり2度目となるG1優勝を成し遂げたが、このほどJRAと新日本プロレスは異色のコラボを展開中。
題して「新日本プロレスケイバ」であるッ!
本サービスは、競馬エンターテインメントサイト「Umabi」にて公開している期間限定Webコンテンツだ。新日本プロレスの人気レスラーたちが「レスラージョッキー」になって競うレースゲーム『G1 CLIMAX RACE』と、真壁刀義選手と競馬場デートをする恋愛シミュレーションゲーム『#俺をレースに連れてって!!』が遊べるのだッ!(無料)
どちらもブッ飛んだ内容のゲームだが、とりわけ目を引かれるのは『#俺をレースに連れてって!!』だろう。真壁選手といえば、テレビのバラエティ番組ではスイーツ大好きな「スイーツ真壁」として有名だが、もともとは「暴走キングコング」の異名を取るコワモテレスラー。プレイヤーは真壁選手を担当する新人マネージャーとなり真壁選手と東京競馬場でデートしてオトすという、おそらく企画担当者がキングコング・ニードロップの直撃を食らってしまったかのようなドープな内容になっている。
それにしても「スイーツ真壁」は、いまやメディアで引っ張りだこだ。
女性向けの情報バラエティには必須だし、そもそも男性にだってスイーツ好きは多いのだから、「スイーツ男子」は重宝がられる存在なのである。
そこで今回は、メディアミックス化に成功したマンガ界の「スイーツ男子」を特集する。暴走キングコングを3分以内に倒すようなマンガ界最強のスイーツ男子、出てこいやッ!!
『さぼリーマン 飴谷甘太朗』 第1巻
萩原天晴 (作) アビディ井上 (画) 講談社 ¥570+税
(2015年9月23日発売)
一番手は『さぼリーマン飴谷甘太朗』。
昨年の「このマンガがすごい!2017」オトコ編で第1位となった『中間管理録トネガワ』の原作者・萩原天聖の原作デビュー作品である。
主人公の飴谷甘太朗は、平日も甘味屋をめぐれるようにするためにSEから営業職に転職した筋金入りのスイーツ男子。
一見するとクールな佇まいで仕事を完璧にこなすエリート社員だが、じつは就労時間内にスイーツめぐりの時間を生み出すために、あらゆる仕事を効率よくこなしているのであった。スイーツめぐりをさまたげようとする困難(仕事上のトラブルなど)に打ち勝ち、甘太朗はスイーツにありつけるのだろうか? ちなみに、彼は職場ではスイーツ好きを隠している。
本作は2017年7月からテレビ東京系列で全12話の連続ドラマとして実写化された。ドラマのタイトルは『さぼリーマン甘太朗』で、甘太朗役は歌舞伎俳優の尾上松也が務めた。シュッとしたノーブルな顔立ちが、なんとも甘太朗らしかった。
『信長の忍び』 第1巻
重野なおき 白泉社 ¥571+税
(2009年6月29日発売)
続いては2016年10月からTOKYO MXなどでアニメが放映された『信長の忍び』。
原作は重野なおきの4コママンガで、忍者の少女・千鳥が織田信長に仕え、天下統一に向かって邁進していく。基本的にはギャグマンガであるが、全体のストーリーは史実に沿っており、信長の事績や戦国時代の通史を学ぶうえでも非常に役立つ作品だ。
本作における織田信長のキャラクター性は、下戸で甘党だったという逸話にもとづいている。そのため本作の信長は大の甘党。桃や柿、金平糖など、この当時の甘味には目がない。「天下糖一」を掲げるスイーツ信長は、まさしく戦国最強のスイーツ男子といえるだろう。
『だれも知らないアンパンマン -やなせたかし初期作品集』
やなせたかし 復刊ドットコム¥1,600+税
(2016年10月15日発売)
そして日本のエンターテインメント界で最高のスイーツ男子といえば、もちろん彼を抜きには語れない。そう、ジャムおじさん(『アンパンマン』)であるッ!!
競走馬の馬名風にいえば「アンクルジャム」といったところかッ!!!!
日本テレビ系列で放映されているテレビアニメ『それいけ!アンパンマン』は来年2018年には30周年を迎える、国民的ヒット作品である。
アンパンつくって30年、日本でその名を知らぬ者はいないブーランジェリーのマエストロ・アンクルジャム。
もともとは、やなせたかしの絵本が原作だが、やなせが編集長を務めた「月刊いちごえほん」(サンリオ刊)では1976年から1982年にかけてマンガ版が連載された。そのマンガ版全71話を収録したのが、『だれも知らないアンパンマン ―やなせたかし初期作品集』である。
ジャムおじさんが語る「ぱんのぱぱだからぱんぱぱ」のキラーフレーズに酔いしれよう。
なお、「新日本プロレスケイバ」は景品の当たるキャンペーンも実施中。詳しくは公式サイトをチェックしてほしい。
この機会に、ぜひとも最強スイーツ男子・真壁を“攻略”しよう!
<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama