第4位(78ポイント)
『はぐれアイドル地獄変』 高遠るい
『はぐれアイドル地獄変』
高遠るい 日本文芸社
魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)する芸能界で、父から受け継いだ得意の空手を武器にがんばるグラビアアイドルの南風原海空。一時は「勝負に負けたら貞操が奪われる!」みたいなハードなお仕事ばかりしていた海空だが、人気もだいぶ安定して、今回は下着を盗もうとする隣の悪ガキに頭を悩まされたり、人気アイドルのセンターに身体を狙われたり、幽霊騒動に巻きこまれたりと比較的平和(?)な日々を送っていた。……だがしかし、この巻からついに始まってしまう、そう格闘マンガのお約束、トーナメント戦が……!
今月は『デッドマン・プリンセス』に続き2作同時ランクインとなった高遠るい。こちらの『はぐれアイドル地獄変』では、今巻からついに世界中から地上最強の美女を決める「戦乙女闘宴(ヴァルキリー・オペラ)」が開幕。参加人数はリザーバーを含む33人と並みの格闘マンガでも見られない非常に大規模なもの。登場する格闘技も空手やボクシングというメジャーなものからラウェイとかいう、あまりなじみのないものまでじつに多彩。
グラビアアイドルらしく露出度多めのセクシーな衣装でリングへ上がる海空はこの大会を勝ち進むことができるのか? そしてこの作品はどこへ進もうとしているのか? 気になることは数あれど、何はともあれ血沸き肉躍ること間違いなしの展開だ!
オススメボイス!
■今一番アツい格闘マンガとの噂を聞いて読んでみたら、予想以上のエロさと格闘マンガみが融合していて最高だった。トーナメントのこれからの展開が楽しみすぎる(pha/ブロガー)
■とにかくこの6巻からでもいい、格闘マンガ界のトップ争いにメチャクチャな方法で割りこんでトップに並んだこのマンガを読み始めてほしい(劇画狼/漫画始末人)
第5位(64ポイント)
『彼女は宇宙一』 谷口菜津子
『彼女は宇宙一』
谷口菜津子 KADOKAWA
自称宇宙人の不思議ちゃんに振り回されるチャラ男が主人公の表題作、巨大化して日々地球を守る一方で、普段は彼氏にDVを受けている少女を描く「カロリーファイターあいちゃん!」、オタサーの姫に振りまわされるUMA研究会の様子を描いた、「ツチノコ捜し大作戦!」……。 『わたしは全然不幸じゃありませんからね!』、『さよなら、レバ刺し』と、コミックエッセイを中心に描いてきた谷口奈津子による待望のストーリーマンガ短編集が初登場。
丸っこいチャーミングな絵柄に、ちょっと不思議なシチュエーションと一見親しみやすそうなのに、話の内容は男女のざわつくような心の機微を描くというなんともミスマッチなもの。ときに苦々しく、ときに爽やかな後味を与えてくれる唯一無二の短編集。
オススメボイス!
■収録作のほぼすべてがSF~ファンタジー仕立てながら、そこで描かれるのは妙な生活感を漂わせる生身の男女の苦悩や葛藤で、宇宙人やUMA(未確認生物・巨大動物)といった非日常モチーフはあくまで、普段は制御された彼/彼女らの欲望や真実を露にするための「装置」なのがウマイ。たとえ宇宙人やUMAが出現しようと、人間が宇宙に旅立つ時代がやってこようと、人間はどうしようもなく愚かで感情に左右される不完全な生きもので、だからこそ、おかしくって愛おしくって、涙があふれだす。80's感あふれるぷるぷるキュートな絵と奇天烈でブラックなストーリーのマッチングもイイ(井口啓子/文化系ライター)
■でんぱ組.inc『WWDD』のワートワークや、NHKEテレ『シャキーン!』のコーナー内作画などを担当するイラストレーターによる、「初のストーリーマンガ集。生々しい少女の恋愛観とSF感で構成された作品。なんといってもエグミある皮肉なオチが冴えていつつ、あたたかい読後感にさせる不思議な作品集(今村方哉/レコード会社勤務)
第6位(54ポイント)
『約束のネバーランド』 白井カイウ(作)出水ぽすか(画)
『約束のネバーランド』
白井カイウ(作)出水ぽすか(画) 集英社
食人鬼が支配する世界で、鬼の食糧となるために孤児院で育てられていた子どもたちの脱獄劇を描いた『約束のネバーランド』。ついに孤児院からの脱獄に成功したエマたちは思わぬ出会いもあって、目的地であったシェルターに無事到着する。だがシェルターのなかにいたのは先客として怪しげな男が住んでいた。外の世界で初めて出会う人間にどよめくエマたちだったが、男は子どもたちの来訪を歓迎せず、エマに銃を突きつける……。
『このマンガがすごい!2018』で第1位を獲った『約束のネバーランド』の最新刊が登場。孤児院から脱出してどうなるのかと思ったが、これまで謎に包まれていた、世界のあり方の一部が明かされて、一気に世界観を広げさらに魅力を増していった本作品。 新たにたどり着いたシェルターを拠点に活動を開始するエマたちは、自分たちをこの場所へ導いたミネルヴァを見つけだすことができるのか?
オススメボイス!
■新展開へ突入! もう7巻目ですが、ずっとハラハラさせ続けてくれる。つくり手の構成力の高さに感嘆するしかない(和智永妙/ライターたまに編集)
■脱獄後、逃げるために「ミネルヴァ」を探し始め、たどりついたシェルターと、そこで待ち受けていた同じ「人間」。子どもたちのフィールドもハウスから出てずいぶん広がり、困難も増す雰囲気です。ハウス脱走時ほどのハラハラはないのですが、この先への「溜め」の雰囲気もあり、次が楽しみでなりません(アキミ/「ボーイズラブを読む!」管理人)