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「グルメマンガじゃないのにおいしそうなものが登場するマンガ」ベスト3 「マンガ食堂」梅本ゆうこさん【目ききに聞く】

2014/12/23


どんなマンガ雑誌でも、開けば必ず1作品は載っている……と言っても過言ではない、人気の「食」マンガ。
美食を追求したもの、庶民の味に注目したもの、料理にまつわる人情話、食べた際のリアクションをフォーカスしたもの、江戸時代や近未来を舞台とした作品まで、まさにグルメマンガは“味の宝石箱や!” あらゆるパターンの作品であふれています。

もちろん、おいしそうな料理は、グルメマンガ以外にも多数登場します。「ジブリアニメの食べ物はどれもおいしそう!」なんて声もよく聞かれますが、「食」がメインのテーマではないマンガのなかにも、読んでいるだけでおなかがすくようなシーンは多く存在します。
そこで今回は、ブログ「マンガ食堂」で、マンガに登場する料理の再現を行なっている梅本ゆうこさんに、「グルメマンガじゃないのに、やたらとおいしそうなものが出てくる作品」のオススメを3つ、選んでいただきました!

[※2013年から2014年11月に発売されたマンガ単行本のなかから選出をお願いしています]

梅本ゆうこさんイチオシの3作品!

『ハクメイとミコチ』樫木祐人

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『ハクメイとミコチ』第2巻
樫木祐人 KADOKAWA/エンターブレイン ¥620+税
(2014年2月14日発売)

身長9センチのこびとたちの生活を描いたファンタジー。
ボーイッシュなハクメイと、しっかり者のミコチ、2人の小さな女の子の暮らしには、梨ジャム、ミネストローネ、レモンチェッロなど、おいしそうな手作りの食べものがたくさん登場します。

個人的には、ブルーベリーを、まるで大きな果物のように切り分けて食べるシーンに萌えました。
ミニチュア世界の細やかな生活感の描写は、読めば読むほど新たな発見があって楽しいです。



『ひきだしにテラリウム』九井諒子

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『ひきだしにテラリウム』
九井諒子 イースト・プレス ¥760+税
(2013年8月9日発売)

ショートショートの傑作と名高い本作は、食べ物がテーマの話もいくつか収録されています。
なかでも「記号を食べる」は白眉。まる、さんかく、四角の3つの記号をそれぞれ調理するシーンが描かれているだけなのですが、これがどんな現実のメニューよりもおいしそう。「チビ太のおでん」に代表される「マンガのなかの記号的な料理」がなぜ魅力的に見えてしまうかを、言葉ではなく絵だけで説明してしまっています。

説明するほど実態から離れていく「すごい飯」、架空の国の食レポがたまらない「えぐちみ代このスットコ訪問記」もおすすめ。



『ドロヘドロ』林田球

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『ドロヘドロ』第19巻
林田球 小学館 ¥925+税
(2014年6月30日発売)

底抜けに明るくてスプラッタ。そんな矛盾する魅力が成立してしまっている稀有なマンガです。
血しぶき、内臓露出などなんでもアリなバトルシーンは凄惨すぎて、常識的に考えたら食欲が失せてもしょうがないのに、食事シーンが毎回異常においしそうなのはなぜなのか……。魔法使いのターキーが作る「人形料理」さえおいしそうに見えてくるから不思議です。

あと、読むととにかくギョーザが食べたくなるので注意。



ご紹介しきれなかったのですが、羽海野チカ先生、よしながふみ先生、小池田マヤ先生、有間しのぶ先生、入江喜和先生、西村しのぶ先生、渡辺ペコ先生、五十嵐大介先生作品も、おいしそうなシーンが盛りだくさん。「料理が趣味」な先生は作中にもさらっとそれが現れているのかなと思います。
「食」をテーマに据えたグルメマンガも盛り上がっていますが、物語のなかにふいに現われる、おいしそうなシーンにも注目してみてはいかがでしょう。



ご協力者:梅本ゆうこ

1979年、大阪府生まれ。関東在住。

会社勤めのかたわら、2008年よりマンガに登場する料理の再現に取り組み、おもにブログ「マンガ食堂」で公開している。
これまでに作成した料理は300品にのぼる。

2012年2月、リトルモアより、ブログを書籍化した『マンガ食堂』(画像)を刊行。

単行本情報

  • 『ハクメイとミコチ』第2巻 Amazonで購入
  • 『ひきだしにテラリウム』 Amazonで購入
  • 『ドロヘドロ』第19巻 Amazonで購入

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