主要な登場人物はあと2人。正文の幼なじみである三吉京子と、クラスメイトのイケメン・河野洋平だ。
河野は正文を通じて京子に接近し、やがて2人は交際を始める。だがさわやかさを装い、学年中の女子から圧倒的な人気を誇る河野には裏の顔があった。そしてこの河野こそが、正文の屈折した想いを引きずりだす起爆剤となってしまう。
『水色の部屋』特設サイトに掲載された、「ゴトウユキコ×ふみふみこ」の特別対談によると、ゴトウはデビュー当時からずっと暗い話が描きたかったそうだ。
そういう意味でも『水色の部屋』は、彼女の本領がいかんなく発揮された代表作となることだろう。
ただ間違えてはいけないのは、本作が文学的で高尚なスカしたエロではなく、実用的なエロに満ちた作品でもある、ということ。
広~いオデコがキュートで、とにかく肉感的なサホの無防備な薄着姿を見てムラムラするのは、健康な男子ならば至極当然である。
失礼、話がそれた。上巻の終盤には息を呑む展開が待ち受ける。虚構に満ちた正文の現実が突如、水色に変わる劇的な瞬間だ。
しかしそれも最終ページではブラックアウトしてしまう。ドスンとした余韻を楽しみながら、続刊を楽しみに待ちたい。
『水色の部屋』著者のゴトウユキコ先生から、コメントをいただきました!
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する中央線サブカル糞中年。4月4日公開・松尾スズキ監督『ジヌよさらば~かむろば村へ~』の劇場用プログラムに参加します。
「ドキュメント毎日くん」