話題の“あの”マンガの魅力を、作中カットとともにたっぷり紹介するロングレビュー。ときには漫画家ご本人からのコメントも!
今回紹介するのは『あたしンち』
『あたしンち』著者のけらえいこ先生から、コメントをいただきました!
『あたしンち』第21巻
けらえいこ KADOKAWA ¥854+税
(2015年10月2日発売)
年に一度のお楽しみ。といえば、マンガ好きにとってはけらえいこ『あたしンち』のコミックスだろう。
1995年から毎年一巻ずつ出版されてきた『あたしンち』は、ついに21巻で完結ということになった。
読売新聞日曜版での連載は一足早く2012年に最終回を迎えていたので、わかっていたことではあるのだが……さみしい! なんせ21年も読み続けてきたんだから。
時の流れを感じつつややセンチメンタルな気分でページをめくりはじめたところ、すぐに笑いの渦に巻きこまれてしまった。最終巻もいつものとおり、クスッと笑えてほのぼのするエピソードがいっぱいだ。
『あたしンち』は母、父、みかん、ユズヒコの四人家族・タチバナ家とこの一家をとりまく人々の日常を描いたシリーズだ。
おおざっぱな母の家でのちょっとおかしな言動や、同じクラスの男子に片思い中のみかんの学校生活。4コマならぬ一話23コマのマンガでつづられるのは、ごくフツーの毎日だ。
そこから「あるある!」という瞬間やちょっぴり懐かしくて心温まる場面をユーモアたっぷりに、でもじつはものすごい精度ですくいとっていくのが本作の魅力だ。
最新刊でも学校やお店からのアンケートにもやっとするエピソードや、人が話している時に無意識でお菓子を食べたい順に並べ替えている母の姿が笑いを呼ぶ。
『あたしンち』を読んでいると、日常ってなんておもしろいんだろうという発見があるのだ。