1話完結の読み切り作品ではあるが、一部のエピソードは世界観を共有しており、前話で初エッチを済ませた女の子が“したり顔で”エロトークをしていたりする描写にニヤリ。
それにしても10代の女の子というのは、ここまでエッチのことを悶々と考え、隙あらば「キスのその先に行きたい!」と思っているものなのか……。高校時代、男子校に通った自分を呪いたくなるようなエピソードばかりで(共学校の話が中心)、ムズムズした感情が湧きあがる。もう、これはパラレルワールドのファンタジーだと思うことにしよう。
本作と同時に『近づいたり 離れたり』(幻冬舎コミックス)も刊行されたが、こちらは名前にまつわる18編のショートストーリー。
時系列的には『キスのその先』の次作にあたり、ふとした心の機微を切り取る作者の腕が、さらに磨かれている。本作を気にいった方は、こちらもぜひ。
『キスのその先』著者の水元ローラ先生からメッセージをいただきました!
<文・奈良崎コロスケ>
68年生まれ。東京都立川市出身。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。中野ブロードウェイの真横に在住する、中央線サブカル糞中年。
個人サイト: ドキュメント毎日くん