それでも僕は君が好き 1
徐譽庭(作)絵本奈央(画) 講談社 ¥463
(2014年4月17日発売)
法律事務所で働く青年・芹澤が、過去の恋愛を回想する形で進む変則オムニバスラブストーリー。
中学時代、好きだった女の子を傷つけた思い出を振り返る第1話の「野ブタ」をはじめ、初々しさ以上に、思春期の痛々しさが強い物語は、聾唖といじめと恋を描いて話題となった大今良時『聲の形』にも似た印象で、最近の「週刊少年マガジン」らしさだなと思わせる。
かわいい絵柄とキャラクターで中和されているけれど、同級生との関係における暴力の存在や、強引なキスのようなあけすけな性欲といったテーマを、きちんと引き受け描いているあたりが、思春期ものとしての生々しさを生んでいる。
<文・小林聖>
主にマンガについての記事などを手がけるフリーライター。マンガ情報サイト・ネルヤ主催。年間だいたい1000冊くらいマンガを買ってます。
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